【小さなメイドⅤ】
「私の侍女よ。」
「お嬢様付きの侍女でございますか!?・・・まさかリタの後任にするなどと仰るのではないでしょうね?」
「もちろん今すぐにという訳ではないわ。将来の進路として、侍女はどうだろうかという話よ。」
「そういう意味でしたか・・・ただお嬢様もご存知かと思いますが、侍女の適性は能力はもちろんの事、主人との相性が何より大切になります。そこは大丈夫でしょうか?」
「うーん・・・断言は出来ないけど、多分心配は要らないんじゃないかしら。少なくとも私は彼女の事が気に入っているし、彼女も私の事を嫌っているようには見えないわ。」
「左様ですか・・・」
「自分でもあまり説得力のある説明になっていない自覚はあるけど、相性って元々理屈を超えた世界でしょう?」
「承知しました。ただこの件につきましては決定事項とはせずに、一つの方向性として考えるという事でいかがでしょうか?」
「ええ。 急を要する話ではないし、もちろんそれで構わないわ・・・それにしても今は小さな彼女がどんな娘に成長するか、これからが楽しみね。」
ロビンの将来を想うサアラの眼差しは、まるで母親のような慈愛に満ちていた。




