【小さなメイドⅣ】
ロビンがアムロード家のメイド見習いとして働き始めてから、およそ二か月が経過した。
ロビンが王都屋敷に通って来るようになり、彼女の事を気にかけていたサアラは、ロビンの指導役であるマーサに現時点での印象を確かめる。
「マーサ、あなたの目から見てロビンは上手くやっているのかしら? 新しい環境に慣れるのに苦労していなければいいけど・・・」
「ロビンにつきましては年齢の事もあり、私も最初は馴染むかを心配していたのですが、今のところ順調としか言いようがありませんね。ここ二月ほど彼女の仕事ぶりを見てきましたが、とても賢い娘ですよ。」
小さな見習いメイドは僅か二か月でマーサから高い評価を勝ち取っていた。
「物覚えが良いのでどんな仕事を任せても、それなりに上手くこなして見せます。また失敗も少ないですし、他のメイドと諍いを起こしたりもしません。 それどころか周りのメイドから可愛がられているようです。」
「そうなのね。」
「もちろん仕事そのものはまだまだ一人前とはいきませんが、今現在でも少なくとも戦力にはなっているので、将来有望だと思います。」
「そう・・・安心したわ。」
マーサの評価を聞いたサアラは嬉しそうに微笑む。
ただマーサとしては懸念が全く無いわけではなかった。
「何より彼女には家族の生活を支えるという明確な目的がありますからね。仕事に前向きなのも、そのせいでしょう。ただ何でも器用にこなす分、メイドとしての進路については悩ましいところです。」
「ある意味オールマイティで才能に偏りが無いからこその悩みね・・・マーサ、それなら彼女にピッタリな仕事があるじゃない。」
「ピッタリの仕事でございますか?」
首をかしげるマーサに対し、サアラは事も無げに答える。
「私の侍女よ。」




