【メイド見習い】
「私、働きたいんです!」
「えっ!?」
「お姉ちゃんは私の事をいつも子ども扱いしていたけど、私はもう子供じゃありません! お洗濯だってお掃除だってお料理だってみんな出来ます。だからお願いです! 私を雇って下さい!」
「ちょっ、ちょっと待って・・・あなた、お年はいくつなの?
「13歳です、お嬢様。」
『本当に13歳なのかしら?』
サアラの目の前に立っている背の低い少女は、およそ本人が主張する年齢には見えない。
だが少女の思いつめた表情を見る限り、ここで断っても簡単に引き下がってくれそうになかった。
『どうしましょうか?』
困り果てたサアラは助けを求める視線をエドルに送る。
助けを求められたエドルは咳払いをすると、少女との交渉をサアラから引き継ぐ。
「お前の名前は何というのだ?」
「ロビンです、旦那様。」
「そうか、ではロビンよ、お前にやる気がある事は認める。だがお前はメイドとして未経験だ。アムロード家は未経験の人間をメイドとして雇った事が無いのだ。」
「でも・・・」
「まあ待て、もしお前が病気の両親や弟妹の世話もしっかりやると約束できるなら、通いのメイド見習いとしてお前を雇っても良い。」
「本当ですか!? ありがとうございます旦那様! 私、一生懸命頑張ります!」
「まだ話は終わっていないぞ。見習いだから給料は普通のメイドの半分しか出ない。その代わり通うのは週三日で良い。」
「私、毎日だって通えます!」
「駄目だ。お前が毎日来たら家族の面倒はどうするのだ?」
「・・・分かりました。それでは明日から来ればいいですか?」
「待て待て、そう焦るな。こちら側で受け入れの準備もあるからな。来てもらうのは10日後からになる。」
こうして全く予期せぬ形で、アムロード家にロビンという小さなメイド見習いが誕生した。




