【グレンダの葬儀Ⅲ】
依頼を受けたマーサは着々と準備を進め、いよいよ葬儀の日を迎えた。
当日の朝、グレンダの実家周辺はちょっとした騒ぎになった。
儀典用に使用されるアムロード家の装飾馬車がグレンダの家族を迎えに来たのだ。
平民街に突如出現した儀典用の馬車を見た近所の人々が一体何事かと集まってくる。
近所の人々が興味津々で見守る中、グレンダの家族たちは緊張の面持ちで迎えの馬車に乗り込む。
馬車はそのまま真っすぐに聖堂を目指した。
参列者が集合した聖堂では、グレンダの葬儀が厳かに始まった。
儀式と埋葬を合わせて、およそ3時間の予定である。
参列者はグレンダの家族を除けば、エドルやサアラ、マーサといったアムロード家の関係者ばかりであった。
無事に埋葬が終わったところで、サアラは次女と思われる一番年長の少女に一枚の書状を手渡す。
「これはアムロード家の紹介状よ。あなた方の身元はアムロード家が保証しますよという意味があるの。あなたがもう少し大きくなった時にこれを見せれば、メイドを募集している大概の家で雇ってもらえるはずだわ。」
サアラから手渡された「草冠に女神」の家紋入りの紹介状を真剣な表情でじっと見つめた少女は、思いつめた口調で彼女に直訴する。
「すみません・・・この紹介状、今すぐに使えませんか? 私、働きたいんです!」




