【グレンダの葬儀Ⅰ】
この事件において唯一の犠牲者となったグレンダの遺体は、供述書通りの場所で発見された。
アランからその一報を受けたエドルは、王都屋敷でグレンダの身柄を確保した際のメンバーを再び招集した。
メンバー全員が執務室に揃ったところで、エドルは結論を最初に伝える。
「昨日、暗殺未遂事件の実行犯であるグレンダの遺体が発見された。」
「旦那様、それで遺体は一体どちらに?」
マーサの質問に対し、エドルは簡潔に答える。
「王都の北にある墓地だ。」
「墓地!?」
「遺体を王都の外に運び出そうとすれば、どうしても検問を通過する必要があるからな。犯人は恐らくそれを嫌ったのだろう。木を隠すなら森の中という訳だ。」
次に質問したのはアルフレッドである。
「犯人は既に逮捕されたとお聞きしましたが、どのような者たちだったのですか?」
「金で汚れ仕事を引き受ける連中だ。叩けば余罪は山ほど出てくるだろうな。」
「お父様、グレンダがいくら敵側の人間とは言え、このままでは可哀そうです。きちんと葬儀をしてやる必要があります。」
「そこでマーサの出番だ。グレンダの葬儀はアムロード家の責任において行う。マーサ、お前には葬儀の準備と家族への連絡を任せたい。」
マーサは立場上、冠婚葬祭の実務に慣れていた。
「承知しました。早速明日にもグレンダの実家を訪ねてみます。」
こうしてマーサが責任者となり、グレンダの葬儀が動き出した。




