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【歓迎会Ⅴ】
「今宵は実に楽しい歓迎会となったぞ、アムロード卿。」
条件付きながらエドルの承認を取り付けた摂政は、晴れ晴れとした表情で感想を述べる。
「私こそ摂政殿下のお言葉に甘えて、ざっくばらんに話をしてしまいました。数々のご無礼の段、何卒お許し下さい。」
「卿はミス・アムロードが話していた通りの男だったな。回りくどくなく率直で、実に話が分かりやすい。」
「恐れ入ります。」
エドルはここが潮時と判断する。
「摂政殿下、もう夜も更けて参りました。また殿下も行事の連続でお疲れと拝察します。そろそろ失礼させて頂いても構わないでしょうか?」
「無論構わない。こちらこそ遅くまで引き留めてしまったな。名残惜しいがまた会おう、アムロード卿。」
「はい、是非とも。」
摂政の許可を得たエドルは、隣で帰り支度を始めようとしたサアラに声をかける。
「サアラ、お前は暫く残って、摂政殿下のお話し相手をして差しあげなさい。」
「お父様!?」
予告なく突然発された父の指令に、サアラは驚きを隠せなかった。




