【三者会談Ⅰ】
翌日の午前中、エドル・アムロードの姿は、再びリンデンバーグ侯爵の王都屋敷にあった。
ブルーム侯爵の到着までには、まだ時間がある。
エドルが早く到着したのは、事前打ち合わせを行うべきというリンデンバーグ侯爵の勧めに従ったものだ。
打ち合わせ場所に選ばれたのは、昨日とは異なり王都屋敷の離れである。
「アムロード卿、これから私とブルーム卿は本館で元々の用事を済ませてしまいます。その後私からブルーム卿に嘆願状の話をしてみましょう。」
「承知した。」
「まずは卿からお預かりした嘆願状をブルーム卿にお見せして、相手の反応を見ます。そこでブルーム卿の同意が得られれば最良だが、そう簡単にはいかんでしょう。」
「そうでしょうな。」
「アムロード卿にはこのまま離れでお待ち頂きたい。私とブルーム卿だけで話し合いが決着するようであれば、卿を本館にお呼びします。もし話がまとまらなかった場合、我々は離れに移ります。そこで卿と私の二人でブルーム卿を改めて説得するという事で如何かな。」
「それで異論はござらぬ。」
打ち合わせを終えたリンデンバーグ侯爵はブルーム侯爵との会談のため、一旦席を外した。




