表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第8部 狙われたエドル
229/273

【茶番劇Ⅲ】

クリストファーは実にあっさりと態度を一変させた。


それを受けて、マーティンの両脇で彼の行動を制限していた兵士達が静かに離れていく。


自分の命が助かった事を理解したマーティンは、気が抜けたように()()場でへたり込んでしまった。


『えっ、これでもう終わりなの!?』


あっけにとられたサアラは思わず正面に座っているクリストファーの顔を不審(ふしん)そうに見つめてしまう。


そんなサアラの目線に気が付いたクリストファーは、彼女に対してパチンとウィンクして見せる。


「!」


それを見たサアラは、ようやく自分たちが茶番劇に付き合わされている事を理解した。


『そうか、クリストファー殿下は最初から私たちを助けようとされていたのね・・・お父様は私よりずっと前から()()事に気付いていたみたいだけど。』


サアラは父の顔色をそっと確認するが、彼のポーカーフェイスからその内心を読み取る事は出来なかった。


その時、ビショップがそっとエドルに近付いて来る。


「これは我々がリヴェラーノ伯爵から事件の全貌を聞き取った供述書になります。」


エドルの目の前まで近付いたビショップは写しを手渡しながら声を(ひそ)め、エドルだけが聞き取れるように(ささや)きかける。


「明日の夜、摂政殿下がアムロード卿とミス・アムロードをお招きして、歓迎会を(もよお)したいと申しております。」


「!」


エドルが驚きの表情を見せる中、ビショップは話を続ける。


「これは公式の行事ではありません。ごく内輪の会合になります。」


エドルはビショップの言葉に黙って(うなず)いた。


王国側を呼び出す理由として公式書簡に(しる)された、アムロード家による国家転覆罪(こっかてんぷくざい)への関与についての弁明は、拍子抜けするほど簡単に終わった。


「これにて終了とする。皆の者、大儀であった。」


その場の全員に向かって閉会を宣言したクリストファーは身を(ひるがえ)し、風の様に謁見所から去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ