【茶番劇Ⅱ】
「恐れながら摂政殿下からのご質問にお答えする前に、我々からも殿下に伺いたい事がございます。」
「申してみよ。」
「王国貴族であるリヴェラーノ伯爵がなぜ貴国に滞在し、しかも国家転覆罪に問われるような事態になったのでしょうか?」
「その事か・・・そもそもはリヴェラーノ伯爵自身が我が国に有益な提案があるなどと申してな、一応話を聞くために公都へ招待したという訳だ。」
「最初に接近してきたのはリヴェラーノ伯爵だったという事ですね。」
「そうだ。そして提案の内容を聞いて驚いた。あろうことか我々にアムロード卿の殺害を持ち掛けてきたのだからな。我々は直ちにこれをアムロード家が背後で画策する陰謀であると判断した。」
『売国行為ではないか!!』
初めて明かされたリヴェラーノ伯爵の国を裏切る行動に対し、王国使節の全員が戦慄する。
「ところが容疑者はそのような陰謀など一切存在しないと言う。では真実はどうなのかと供述書を書かせたのだが、話が平行線でどうにも埒が明かないのでな、今回わざわざ来てもらった訳だ。」
クリストファーは努めて真面目な表情のまま事実確認を行う。
「リヴェラーノ伯爵の言によれば、この計画にアムロード家は加担していない。これは本当かな?」
それに対し、エドルも真剣な表情で返答する。
「リヴェラーノ伯爵の主張は事実です、摂政殿下。当家には摂政家を陥れんとする意思も計画もありません。故にリヴェラーノ卿の計画は彼の独断によるものと判断します。」
その答えを聞いたクリストファーはパッと表情をやわらげる。
「そうか! 分かった。 これでリヴェラーノ伯爵への容疑は晴れた。彼の身柄は王国に引き渡そう。」




