【再び公国へⅤ】
「リヴェラーノ伯爵がデール公国内で逮捕されました。」
予想もしないアランの言葉に二人は息を呑んだ。
「何でそうなる?・・・いや、それ以前に何で奴がデール公国にいるんだ?」
「現時点では何も分からないというのが答えになります。」
「他国の貴族を逮捕するからには理由があるはずです。リヴェラーノ伯爵の罪状は何なのですか?」
「公国からの公式書簡によれば、彼の逮捕容疑は国家転覆罪と書かれています。」
「国家転覆罪!?」
「一体奴は何をやらかしたんだ!?」
アランの言葉に対して、サアラとエドルはほぼ同時に反応する。
「それも詳細は不明です。」
ここで一旦言葉を切ったアランは、いよいよ話の本題に入る。
「デール公国から届いた公式書簡はリヴェラーノ伯爵の逮捕を知らせて来ただけではありません。その先があります。」
「『その先』とやらが、我々が今夜呼び出された理由という訳だな。」
「その通りです。」
「公国の連中は何と言って来たんだ?」
「公国はリヴェラーノ伯爵が引き起こした国家転覆罪へのアムロード家の関与について、王国側の説明を求めています。」
『何の事だ???』
もはや相手が何を言っているのか分からなくなった父娘は今度こそ絶句した。




