【事情聴取Ⅳ】
事情聴取の当日、エドルはアランと事前の打ち合わせをするため、開始予定の2時間前には王宮に入った。
「筆頭秘書官殿、リヴェラーノ伯爵が今日の事情聴取を承諾した理由は分かっているな。」
「こちらが何をどこまで知っているのか、情報収集が目的でしょう。」
それを聞いたエドルは満足そうに頷くと、話を続ける。
「そこでだ、こちらとしても相手にどこまで情報を開示するか、あらかじめ決めておく必要がある。」
「承知しました。」
「儂が暗殺を免れた決定的な原因であるソフィア妃殿下の能力については、伏せておくのが当然として、問題は指示書だな。筆頭秘書官殿はどう思われる?」
「そうですね・・・リヴェラーノ伯爵は自分が事情聴取の対象になった理由を必ず質してくるはずです。その際、こちらが理由を説明する中で、指示書について全く触れないという訳にはいかないでしょう。」
「それはそうだ。しかし相手が当家に対する攻撃の意図があるという前提に立てば、情報提供は最低限に止めたい。」
「確かに最初からあまり親切に情報を与えてしまうと、相手から甘く見られてしまう恐れがありますね・・・それでは説明の際に指示書とは明言せず、内容だけを伝えるのはいかがでしょう。」
「恐らく向こうの納得は得られないだろうが、それしか無さそうだな。」
「元々リヴェラーノ伯爵にくぎを刺す事がこちらの目的ですし、これから行われる事情聴取に対して伯爵が誠実に対応するとはとても思えません。そうであれば相手の心証をあまり考慮する必要は無いでしょう。」
「分かった、大枠はそれで行こう。ただし相手の態度によってはこちらも臨機応変に対応する用意はある。」
「臨機応変ですか・・・どうかお手柔らかにお願いします。」
大枠の方針は決まったものの、それで終了とはならなかった。
結局、両者の打ち合わせは予定時間を大幅にオーバーし、リヴェラーノ伯爵到着の知らせが来るまで続けられた。
すみません、次回はさらにオッサン成分マシマシでお届けします。
なぜこうなった・・・




