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【事情聴取Ⅲ】
「任意の事情聴取ですか・・・」
王都屋敷に戻ったエドルの口からアランの提案内容を知ったサアラは複雑な表情である。
「王家の協力は喜ばしい限りですが、リヴェラーノ伯爵がお父様の同席を知った上で呼び出しに応じるものでしょうか?」
「お前は強制力のある召喚状を使わない限り、ターゲットを引っ張り出す事は出来ないと考えているようだが、実際そうとも限らん。」
「違うのですか?」
「こちらは向こうの真意を探りたい訳だが、向こうは向こうでこちらの情報が知りたいはずだ。相手は既に儂の暗殺が失敗した事を掴んでいるだろう。そうであれば暗殺を仕掛けた側としては失敗の理由が知りたくなるものだ。」
「つまり情報を欲しがっているリヴェラーノ伯爵にとってもメリットがある話という事ですか。」
「そうだ。だから可能性はある。」
エドルの言葉は現実になった。
一週間後、王宮にてリヴェラーノ伯爵への事情聴取が行われるとの知らせがアムロード家に届いた。




