【魔法陣と触媒Ⅱ】
「例えばこのような方法です。」
そう言うとソフィアは立ち上がり、応接室に置かれた調度の引き出しを物色し始める。
「確かここに入れておいたはずだけど・・・あったわ!」
戻って来たソフィアの手には二つの木箱が握られていた。
「これは先程申し上げた『単体で作動する魔法陣』の実物です。ただし今はご覧の通り二枚に分割されていますから、この状態では何も起こりません。」
木箱の蓋を開け、中にある二枚の紙を丁寧に取り出したソフィアは、それらをテーブルの上に置く。
「次にこのようにします。」
そう言いながら彼女は二枚の紙の切断面を合わせるように、慎重にくっつける。
変化は直ぐに起こった。
一時的に切断前の状態に戻った魔法陣は、眩しい光を放ち始める。
「これは・・・」
驚きの声を上げるサアラに対して、ソフィアは丁寧に説明を続ける。
「今、発動したのは魔法灯の光源として使われる一般的な光魔法に過ぎませんが、重要なのはこのように魔法陣を分割しても、分割前の状態に戻す事で魔法陣としての効力が復活する点です。触媒と組み合わせる方法に比べて即時性は少し劣りますが、魔法の発動に即時性が最優先されるとは必ずしも限りませんから、これで十分な場合もあります。」
『分割・・・そうか!!』
その実験を見たサアラは、今まで悩んでいたのが何だったのかと思うほど、一瞬で答えに到達した。




