【共犯者Ⅳ】
「それではリーダーはグレンダなのね?」
「はい。私はグレンダさんの指示に従っていただけで、グレンダさんに指示を出していた方にお会いした事はございません。」
「リヴェラーノ伯爵の名前に聞き覚えは?」
「いえ、全くありません。」
「ではこれに見覚えはありますか?」
サアラが手渡した魔法陣の写しを見たジェシーは、すぐに肯定する。
「この紙は以前に私が持たされていた紙と同じものだと思います。グレンダさんと私のどちらか先にチャンスが来た方が執務室の絨毯の下にこの紙を隠す手筈になっていました。」
「今は持っていないという事?」
「はい。二週間ほど前にグレンダさんが『紙はもう置いたから必要ない』と言って私の紙を回収されました。」
二週間前というのは、グレンダがエドルの執務室の清掃を行ったタイミングと見事に一致する。
「これを置いたのはお父様の執務室に一枚だけ? 他には無いの?」
「私が知る限り、その紙を置いたのは旦那様の執務室に一枚きりです。それ以外にはございません。」
ジェシーは、魔法陣が他の場所に置かれている可能性を明確に否定した。
これはソフィアの見立てと完全に一致している。
今のところジェシーの証言と、事前に集めた情報との間に矛盾は無い。
こうしてサアラの事情聴取はいよいよ最大の謎である触媒に移った。




