【共犯者Ⅱ】
作戦はいよいよ最終段階に入った。
ジェシーはその日、マーサの指示により物置部屋の整理を行っている。
王都屋敷の本館とは離れた物置部屋は、用が無ければ人が立ち入らない場所であり、そこにいる人間が本館の異変を察知する事は難しい。
同じように本館の人間が物置部屋の異変を察知する事も困難であるため、これから起こる事を見越して考えられた配置である。
グレンダの時と同じくアルフレッドは出入り口の外で待機し、マーサが一人で物置部屋の中に入って行く。
「ジェシー、仕事ははかどっていますか?」
「あ、マーサ様、わざわざおいで頂きありがとうございます。」
物置部屋の奥から姿を現したジェシーは笑顔を見せる。
一方のマーサに全く笑顔は無い。
「ジェシー、貴女に確かめたい事があります。」
マーサの改まった口調を受けて、ジェシーは自然と引き締まった表情に変化する。
「はい、どのような事でしょうか?」
「ジェシー、これが何だか分かるわね。貴女の私室から出てきた物よ。」
薬瓶を見せられた彼女は大きく目を見張り、やがてがっくりと首をうなだれた。
「グレンダの身柄は既に確保しています。残っているのはあなただけよ。」
うなだれたままマーサの話を聞いたジェシーは、やがて観念したように言葉を絞り出す。
「・・・申し訳ございません、マーサ様。 私が知っている事は全てお話し致します。」
「良い心掛けです。それでは私に付いてきなさい。」
ジェシーはマーサとアルフレッドに前後を挟まれるようにして、作戦本部である別館に連行された。




