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【共犯者Ⅰ】
「この部屋です。」
マーサの案内により実行部隊の二人は屋根裏部屋の突き当たりにあるジェシーの宿舎に到着した。
メイドの宿舎といっても、この時間帯はメイド全員が仕事のために出払っているので、屋根裏部屋に人の気配は無い。
そのため触媒を捜索するには実に好都合である。
まずマーサが合鍵を使ってドアを開け、二人は静かに部屋の中へと入った。
作り付けのベッドの他には外気を取り入れる小さな窓と、申し訳程度の棚があるだけの質素な部屋は、それでも個室であるだけ、メイドの宿舎としてまだましな部類と言えるだろう。
「あった!」
二人が手分けして部屋の捜索を始めてから僅か数分後、マーサが目的の触媒を見つけ出す。
それはエドルの執務室でグレンダが持っていたものと全く同じ形状の薬瓶だった。
薬瓶には緑色の液体が同じように入っている。
それを見た二人は顔を見合わせ、わずかに表情を緩ませる。
「これで決まりですな。」
「ええ、間違いありません。」
物証を入手した二人は、共犯者であるジェシーが異変に気が付く前に一刻も早く身柄を確保するため、休む事無く彼女の持ち場へと向かった。




