【作戦会議Ⅳ】
「よし、実行犯はグレンダという前提で作戦を進めよう。 だが決してジェシーをシロと認定したわけではない。 彼女への監視は続行する。 皆もそれで良いな。」
全員の賛同が得られた事で対象者は決定した。
次に問題になるのは行動を起こすタイミングだ。
「作戦の決行日はいかがされますか? 旦那様のお許しが頂けるのなら、明日にも餌を撒きますが?」
「さすがに明日は急ぎ過ぎだろう。 決行日は三日後とする。」
「承知しました。」
「でもマーサ、相手は本当に餌に喰いつくかしら・・・?」
「お嬢様、彼女はまず間違いなく喰いつくはずです。 そもそも前回と同じ事を命じるだけなので、罠とは気付かないでしょう。 それに罠をかけられる事を恐れて、行動を思いとどまるだけの心の余裕が彼女に残っているとは思えません。」
「普通に考えればそうだけど・・・」
「それでは旦那様が近々ランドンに戻るという偽の情報を彼女に与えましょう。 早めに決着をつけたいのなら三日後がラストチャンスであると、彼女に強く意識させるのです。」
「分かった、マーサの意見を採用する。」
「ありがとうございます。」
「ところでお父様、当日の作戦本部を決める必要があると思います。 普通であればこの執務室で良いのですが、何しろ当日の舞台になるのがこの部屋ですから、絶対に使えません。」
「そうだな・・・当日の作戦本部は別館を使う。 あそこが一番都合が良かろう。 マーサ、念のため当日は他人払いをしておいてくれ。」
「承知しました。」
王都屋敷の別館は本館に隣接した小さな建物である。
普段は使われておらず、人の出入りもほとんど無いため、サアラも作戦本部の第一候補として別館を考えていた。
そのためこの問題は簡単に決着した。
こうして作戦は三日後に開始される事になった。
その後も四人は当日の役割分担について、細かい打ち合わせを続けるのだった。




