【作戦会議Ⅱ】
「相手が動き出すまでのんびり待つなんて、そんな必要は一つもございません。はっきり申し上げて時間の無駄です。」
確信に満ちたマーサの口調に惹き付けられたエドルは、話の続きを促す。
「何か良い方法があるのか?」
「旦那様も他の方々も難しく考え過ぎなのです。よろしいですか、現在ハウスメイドは危険な敵地に留まっています。回りが敵だらけの環境でいつ自分の正体がばれるのではないかとひやひやしながら毎日を過ごしているのです。余程の訓練を積んだ者でない限り、このようなストレスに長時間耐える事は出来ません。即ち早期決着を誰よりも求めているのが、他ならぬ刺客自身という事になります。」
犯人側の心理を読む事で今後の展開を読み解こうとする名探偵マーサの推理は冴え渡る。
「とにかく刺客は一刻も早く任務を終わらせて、王都屋敷から出て行きたいのです。そうであれば話は簡単です。相手の心の焦りを利用するのです。」
「どうするつもりだ?」
「相手が行動しやすいような餌を撒きます。刺客は旦那様を罠にかけ、自然死に見せかけて殺そうとするような卑怯者ではないですか!『罠には罠を』です。」
マーサは自信満々にそう言い切った。




