【作戦会議Ⅰ】
サアラとエドルが意見交換を行った二日後、マーサと王都に到着したばかりのアルフレッドを加えた四名全員が、エドルの執務室に集合した。
まずエドルが二日前にサアラに対してやって見せたのと同じように、絨毯の下に置かれた魔法陣を取り出すと二人に見せる。
そんなエドルに対して、真っ先に質問したのはアルフレッドである。
「お館様は一体どうやって魔法陣の仕掛けを見抜かれたのですか? 絨毯の下なんて誰かに教えてもらわなければ、とても見つけられませんぞ。」
「まあ、色々あってな・・・詳しくは言えんが、お前の言う通り別ルートから教えてもらったのは事実だ。」
「やはりそうですか。」
「先程説明した通り、魔法陣の発動には触媒が必要だ。そしてその触媒は刺客が持っているはずだ。」
「それならメイドの荷物を抜き打ち検査して、触媒を押さえてしまえば済むのではないですか?」
サアラと同じような作戦を提案したアルフレッドに対して、エドルは丁寧に問題点を指摘する。
「それも考えた。だが残念ながら、我々は肝心の触媒について具体的な情報を持っていない。対象が分からないものを押収するというのは、なかなか難しい。その場合は相手の自白が頼りになるが、自白が正しいかどうかの判断が難しいし、そもそも自白をしない可能性だってある。だから刺客が触媒を使用する瞬間を現行犯で捕まえるのが一番確実なのだ。」
「事情は分かりましたが、そうなると長期戦になるかもしれませんぞ。」
「ああ、それは覚悟の上だ・・・今のところ二人のハウスメイドをこのまま泳がせて、行動を起こすのを待つというのが、こちらの基本戦略だな。」
それまで黙ってエドルとアルフレッドとのやり取りを聞いていたマーサが、ここで初めて口を挟む。
「お待ち下さい旦那様、相手が動き出すまでのんびり待つ必要なんて、一つもありませんよ。」




