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追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第1部 悪役令嬢の追放
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【帰郷】

「お嬢様、ランドンが見えましたよ。」


それはサアラにとって待ちに待った知らせだった。


彼女は馬車の窓から急いで身を乗り出し、前方に目を()らす。


サアラの視線の(はる)彼方(かなた)には(かろ)うじて建物(たてもの)らしき何かが見える。


しかし彼女が()()を見間違える事は無かった。


「城壁だわ!」


それはサアラにとって()()()見慣れた光景だった。


アムロード侯爵家の領都・ランドン。

サアラ・アムロードが生まれ育った故郷である。


王国全土の約1/10という広大な土地を領有し、王国において「三侯」と呼ばれるトップスリーの一角を占める立場という押しも押されぬ大貴族、それがアムロード家だ。


アムロード家は表向きはクロスリート王国の一貴族に過ぎない。


しかし実際には近隣の小国に匹敵する程の経済力・軍事力を持っている。


それだけにアムロード侯爵家は王国にとって潜在的な脅威(きょうい)の対象となり得る存在だ。


もしアムロード家が他国と盟約(めいやく)して王国に反旗を(ひるがえ)した場合、それはクロスリート王国存亡の危機に直結する。


もちろんアムロード家は王国から特別に重用(ちょうよう)されており、アムロード家としてはわざわざ危険を(おか)す必要など無いのだが、王国から見れば、無警戒(むけいかい)にして良い相手ではない。


サアラが今までランドンへの一時帰郷(ききょう)すら(かな)わなかったのは、まさしくそこに起因(きいん)していた。


サアラの王都滞在は王国への臣従(しんじゅう)(あかし)としての人質という意味合いを含んでいたため、よほどの理由がない限り、帰郷(ききょう)が許されなかったのだ。


だから彼女は追放でもされない限り、王都に(しば)り付けられる運命にあった。


『本当に帰って来たのね・・・』


奇跡的な帰郷(ききょう)を果たしたサアラは、人目もはばからず号泣していた。

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