【隠された野望Ⅲ】
「今から十日前の朝、儂はソフィア妃殿下から至急の呼び出しを受けた。」
「ソフィア妃殿下がお父様を!?」
「お前も驚いたようだが儂も驚いた。ソフィア妃殿下が儂を呼び出すなど、今まで一度も無かったからな。だからその日の内にお会いした。」
「それでソフィア妃殿下とはどのような話をされたのですか?」
「ソフィア妃殿下の話は理路整然としたものではなかったが、結論としては要するに当家の王都屋敷にあるはずの魔法陣の書かれた紙を探せという話だった。それがどの様な魔法陣であるかは妃殿下が自ら書いて下さったのだが、それでもこちらからすれば雲をつかむような話だ。」
「確かに広大な王都屋敷で紙切れ一枚を探すというのは、至難の業ですね。」
「だがそのために大規模な家探しをする必要は無かった。妃殿下は探すべき場所のヒントを教えてくれたのだ。」
「ヒントとはどのような?」
「ソフィア妃殿下は目的の紙片が置かれている部屋の配置を教えて下さった。そしてそれは儂の執務室の配置と見事に一致していたのだ。」
「この部屋の事ではないですか!?」
「それだけではない。妃殿下は紙片の正確な位置まで教えて下さった。後は簡単な話だ。王都屋敷に戻った儂は、先程お前の目の前でやって見せたようにして魔法陣が書かれた紙片をこの部屋で発見したというわけだ。結局、妃殿下の情報は極めて正確だった。」




