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追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第7部 デール公国
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【本当の気持ち】

サアラは王国からの書簡をそのままクリストファーに見せた。


本来は許されない行為だが、サアラは自身の帰国が自らの意思ではなく、やむを得ない事情である事を相手に理解してもらいたかった。


「クリストファー殿下、ご覧の通り本国より帰国命令が届きました。準備が整い次第、私は公都を離れます。」


「お前が帰る事を許可した覚えは無いぞ。」


「私とて中途半端な今の状態で公都を離れるのは本意ではありません。しかし本国からの命令とあれば是非もございません。」


「サアラ、お前の意思はどうなんだ?」


「それは・・・私にも立場というものがございます。私が帰国しない事で当家に不利益を与える訳には参りません、それに・・・」


彼女の答えを(さえぎ)るように、クリストファーは机をバシッと叩く。


「お前の家の事情など()いてはいない! それはただの言い訳だ! 私はお前の、サアラ・アムロードの気持ちだけを聞いている!」


クリストファーの眼はサアラを真っ直ぐに見据え、逃げる事を許さない。


ごまかしが効かない事を悟ったサアラは覚悟を決めて本心を明かす。


「殿下、私の気持ちは以前に申し上げた通りです。ですが私がもしアムロード家の一人娘ではなく、あなた様がデール公国の摂政でなければ、違う未来もあったかもしれません。これもまた本当の気持ちです。」


「・・・ようやく私に本音を言ったな、サアラ。」


「殿下、どうかこれ以上はご容赦下さい。気持ちだけではどうしようもない事はあるのです。」


「サアラ、お前は運命に従おうとしている。だが私は違う。運命とは切り開くべきものだ。」


「!」


「分かるか、サアラ。運命に従うのではない。運命を従えるのだ!」


「クリストファー殿下・・・」


「お前が本当の事を言った見返りとして一時帰国は許そう。だが決して諦めた訳ではないぞ。お前はいずれ我がものになる。」


こうして摂政の許しを得たサアラの緊急帰国が決定した。

次回「涙」は、12月3日(日)20時頃に公開予定です。

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