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Ⅰ*05 異世界初日~未知との遭遇Part 2、そして遁走へ



 強敵スライムボールとの激闘を終えた俺は、ダンジョン第一の部屋を抜けて更に奥の通路を進んで行く。今度の通路の間隔は短い。曲がりくねっているので正確ではないと思うが…それでも体感で五十メートルくらいだろうか?



 俺は慎重に通路から次の部屋へと首を伸ばして覗く。今度の部屋は小中学校の教室くらいの広さだと思う。天井はドーム型じゃなくて箱型の普通の部屋と呼んでいいのだろか?


 天井には鍾乳洞のツララみたいな感じのヤツが生えて水滴を滴り落している。なので、床はジットリと湿っていた。


 見た事もない苔なのかカビなのか良く解らないカラフルな植物群がチラホラ生え茂っている。だが、目立った仕掛けなどは特に見当たらない。


 俺から見れば第二の部屋の左・中央・右の壁にそれぞれ一本ずつ通路がある。中央には…なんかの動物のようなレリーフが縁にあるが、崩れていてそれがなにかは良く判らないな。



「だけど、壁は…通路と同じあのセメントっぽい材質なのか。どうやらこのダンジョン、壁で空間を仕切って通路や部屋を構築する、平たく言えばW●Z式のダンジョンじゃなくてアリの巣みたいに通路と部屋が繋がってるタイプっぽいな…方向感覚さえ大丈夫なら、むしろ迷う事は少ないかもだが…俺は方向音痴の気がある」



 前途多難だ。



「モンスターは…いるな。けど、プニ太郎が十匹くらい好きなようにモゾモゾしてるだけだな。問題は、今度の通路は三択か…」



 “プニ太郎”とは俺が腰の袋に飼っているスライムボールの名だ。


 彼はもはや俺の心のリラクゼーションパートナーと言っても過言ではないのでな。



「……俺が部屋に入ってもコイツら、一斉に襲い掛かかって来ないな。反応が鈍い…ってアレだけ動き回ってたしなあ。…刺激さえしなければ意外と大丈夫なのかな?」



 俺はそっと抜き足差し足で部屋を進む。どうやら、野生のプニ太郎達は俺にそこまで関心は無い様子。途中、2匹ほどにじり寄ってきたがそっと優しく捕まえて壁の方にコロコロしてあげた。



「取り敢えず、松明は残り2本だ。さっきみたいにうっかり落としては堪らん。これ以上、案山子先輩の犠牲を無駄にはできないぜ…!」



 俺は手にした松明を握る拳に力を籠めると、先ずは中央の通路を進むことにした。



   ※



「グァーグァー」

「グアッ」



「………今度は鳥かよ」



 中央の通路の先、ここを仮に第三の部屋としよう。そこは前の部屋よりもやや狭い。部屋の先にはまた通路が続いている。



 だが、問題はその部屋には無視できない代物が二点あることだ!



 一つ。その部屋の壁の一部と床が何故か石造りになっていて、なんと壁には滾々(こんこん)と清水が湧き出す台座が取り付けれていることだ。



 ……喉が渇いた。俺は突然この世界に飛ばされて早数時間以上、何も口にしてないんだから当然だ。唇もガサガサよ? それにこのペッタンコになってしまった可哀想な水筒にあの水を腹一杯飲ましてやりたい…だがっ!



 二つ。モンスターがいやがる。しかも2匹だ。



 子供ほどの大きさ…七面鳥とかじゃあないな。嘴と頭がやけにデカイ。色も紫がメインだが、どこか南国を思わせる極彩色だった。その片割れが台座から床に零れてできた水溜まりに嘴を突っ込んで美味そうに水を飲みやがる……俺にも飲ませろッ!?



「だが、圧倒的にプニ太郎より強そうだ。まず、サイズからして違う。ここは一旦引き返すか? だが、水は飲みたい…う~ん。あ。そうだ、コイツを投げ込んで様子をみよう」



 ここで俺は腰の袋から迷いなくプニ太郎を取り出して鳥共目掛けて投擲する。


 ……ってさ、心のパートナーだって言ったろ?


 安心しな、プニ太郎! 投げるのは…コイツだ!!



「飛んでけ! 俺のファイアーボール!!(消費MPゼロ)」



 俺は手に持った松明を全力で投擲する。まあ、まだ一本あるしね。



 最悪、手持ちが無くなっても外に戻ってまた作ればいい。ビリビリに破いた案山子先輩のズボンが悪戯な風とかに飛ばされてなければね!



 *ムドーは火の点いた松明を八つ当たり気味に投げつけた。

  当たった!



「グアッ!?」

「よっしゃ!」



 俺が投擲した松明はクルクルと弧を描き、水を飲んでご機嫌だった方の鳥の頭にヒットする。古来より獣は火を恐れるものだ。きっとダメージを与えられなくとも、松明の火を見て逃げるに違いない。


 …そういや、コッチ側に逃げてきたらアウトだな?



 だが、場所が良くなかった!


 

 当たって落ちた松明は水溜まりに落ちて鎮火してしまったのだ。



(ジュッ…)



「グアッグアッ!? ガァ~!」

「グ~。……グア?」

「……あ。ち、ちぃーす…お邪魔してまぁ~す?(ニコォ…)」



 地面に転がる松明を突いているこのタイミングで!


 鳥共の気が逸れた隙を狙って、水を手に入れようと台座へとスニークミッションしていた俺と松明が当たらなかった方の鳥との視線が神の悪戯化なのか…合ってしまったのだ。



「「ギャー!グギャアー!!」」

「クソ!見つかった!? 完璧な作戦だったはずなのに…ッ!」



 *戦いだ!


 ☠飛べない鳥(2


 *どうする?



「馬っ鹿、逃げ一択だろ!? 後、微妙にモンスターの不確定名が切ない!?」

「グアァァァ~!!」



 *ムドーは敵に対して無様に背を向け逃げ出した!

  しかし、追い付かれた。


 *飛べない鳥はムドーを嘴で突いた。

  1回ヒット、3ダメージ。



「グア~ッ!(ドズムッ!)」

「ほっ!…と……!?」



 鳥の太く禍々しい嘴が俺の尻を襲う。


 余りの痛みに声が出ない、代わりに吐き気が込み上げる。



 HP:5/8

 AV:0/5

 MP:2/2



「…しょっとおぉおおおおぉおお雄おおオオ!!?!」



 俺は訳の分からい絶叫を上げながら走り出した。


 暗い通路の壁に身体をぶつけながらデタラメに走り続ける。



 *ムドーはスライムボールを蹴り飛ばした。

  壁に激突して弾けた! スライムボールは死んだ。


 *ムドーはスライムボールを轢いた。

  踏み潰されて飛び散った! スライムボールは死んだ。


 

 目の前に何やらログ・メッセージが流れてきたが今の俺に悠長にそれを読んでいる暇など無かった。



 俺は何とかダンジョンから地上へ走り抜けた直後に何かに蹴躓いて転ぶ。



 見れば、案山子先輩の残骸だった…。



 必死になって身を起こして洞穴を見るがあの鳥は追ってきていない。



「ハァ…!!ハァ…! モンスターはダンジョンから出てこないのか? 何はともあれ、たす…かっ…」



 俺は視界が霞んで仰向けに倒れてしまった。



 見上げた木枝を透かした空は既に黄昏の色に染まりつつあった……。



 

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