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Ⅰ*10 ダンジョン入口付近でサバイバル~反撃の狼煙!その名はG.A.S.!!



「(良し…鳥は相変わらず一匹だけのようだな)」



 俺はスライムバルーンを脇に抱えながら水の湧く台座がある第三の部屋の中を伺う。



 部屋の中には暇そうにグァーグァー言ってるあの飛べない鳥(未確定名)が一匹。


 もう一匹の所在は明らかではないが、ここまで来て尻ごみしていては何も始まらない!



「(飛べない鳥、か…悲しいヤツだ。だが、俺がお前を飛ばしてやるよ。……夢の中でなっ!)」



 俺は部屋内に向ってスライムバルーンをトスする。



「グア?」



 ソイツは今まで見た事もないであろう空中に浮かぶスライムバルーンをただただ見上げるのみだ。



 そして、俺が壁画の部屋の仕掛けを利用して強力な催眠ガスが充填されたその風船がフワリフワリと鳥に真上辺りまで飛んでいく。


 …今ですっ!!



「マジックアロー!(単なる嘘)」



 俺はタイミングを見計らって手に持った自作のダーツを風船目掛けて投擲する。


 実は大学生時代知り合いにビリヤードに何回か誘われたんだが。全然才能ナシ子さんだった俺はひとりしょげてビリヤード台の隅にあったダーツで遊んでたんだよ。そのちょっと悲しい経験が…いま、この奇跡を生み出す…っ!



 *ムドーは目標に向ってレベル1のダーツを放った。

  当たった!



(パァン!)

「ギャ!?」



 当たった! 鳥の奴め、ビビッて硬直してやがる。


 すかさず俺は部屋から通路へと飛び退く、近過ぎると俺までグッナイの可能性があるからだ。



 そして、数分後。



「まあ、通路から覗いてた限り速攻で倒れてたけど…どうだろ?」



 俺は恐る恐る部屋の中に入り鳥を調べる。



 ☞アタックドードー(レベル2)

 種族:鳥獣系・最下級

 状態異常:昏睡

  無力化されたアタックドードー。元は太古の時代の飛行能力を失った小型の鳥類だったが、ダンジョンで適応しモンスター化した。原種は既に絶滅済み。

 特殊能力:無し



「レベル2かあ~。普通に戦っても苦戦したんじゃないか? それにしてもドードー…言われてみればだな? というか、異世界でも絶滅してたんか…あ。モンスターとしては生き延びてんのか」



 というか…小型? このサイズで。いやいや、説明文には無いけどきっとモンスターサイズになったということだろう。そうだよな? この世界の中型・大型ってもうそれどこのドラゴンだよってサイズじゃあないよね? マジで怖いんだけど?



「よっしゃ!では念願の…っ!」



 俺は素早く眠らせたアタックドードーの脚を紐で縛り上げると壁のとある一点に振り向く。



「……み、水だあぁあああ!!(じゃばごぶうぶふぅ!)」



 俺は水が湧き出て清水を溜め込んだ台座に頭を思いっ切り頭を突っ込んでしまう。


 がむしゃらに水を呑み込む。まるで体中にその水がいきわたるかのような錯覚を覚える。



 頭の中が深い霧から抜け出したようにクリアーになっていく気がした。



「ぶはあッ! うははッ! こんなに美味い水を飲んだのは久し振りだ…おっといけね! お前にもしこたま飲ませてやらないとな?」



 俺は腰の水筒の金具を外して、台座の噴水部分に飲み口を添える。


 皮の水筒がまるで生き物かのような勢いで水を呑み込んで腹を膨らせる。



「おお~…結構入ったんじゃないか? 恐らく2リットルは入ったな」



 水で満たした水筒を腰からぶら下げる。かなり重いぞ?



「あ。この水筒の尻と言っていいのか分らんが、先端部分にある紐はもう一カ所固定する為にあんのか?」



 紐をベルトを通す穴にくぐらせて結わえ付ける。すると、丁度水筒が腰の後ろに抱き付いたような形になり収まりが良くなった。



「なるほど。コレなら歩いてもブラブラして邪魔になったりしない訳ね」



 俺は改めて部屋の中を見渡す。壁の一部が石壁であるのと水飲み場が在る以外は特に目を引くものは無い。さらにこの部屋の奥に続く通路があるのみだ。



「このまま先に進むのは悪手だな、常識的に考えて。もう一匹の片割れが居るかもしれないし、別のモンスターや罠がある可能性もある。…それよりも、コイツをどうするか」



 俺は足元に転がる鳥を眺める。



「ぐぎゅるうううう~」



 ……現代社会を知る俺が、加工前の鳥(生きてる)を見て腹の虫を鳴らす人物を見たら引くだろう。



 実際、自分がソレな訳だが…大丈夫だ。自分でも流石に引いた。



「ジュルリ…だが、貴重なタンパク質なのは間違いないだろう。良し、連行しよう」



 俺は涎を拭きながら昏睡状態の鳥を優しく抱きかかえ…



「重たっ!? 十キロ以上はあるぞコレ…」



 アタックドードーを両手で抱えるがかなりの重さを感じる。そりゃあ鶏なんかより何倍もデカイもんなあ~。



 ●ンタッキー何人前くらいになるかな? 今日は●ンタッキーにしようッ!(実際には無理だが)



 俺はニコニコしながら部屋を出て地上にある竈場へ向かった。


 想像以上にコイツ羽根がワサワサしてて抱えて歩くのが辛かったが我慢した。



 あ。勿論、実際一本しかない武器であるダーツはキチンと回収したぞ。



 

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