いい感じになりそうな男の子の部屋にX'masの夜お邪魔したら雪だるまに呪われていた件
X'masの夜にお届けする女性向け怖さ少な目な超ライトホラー。
※「なろうラジオ大賞3」の参加作品の為、合計1000文字しかありませんご了承ください。使用キーワード『雪だるま』
「何、この石」
ひそかに彼氏候補と目している〝ミキト〟のアパートの部屋で見つけたのは、気味が悪い【赤い石】だった。
「あ、それねー。長くなるかもだけど、聞く?」
「話してみて」
因みに、あたしの偉そうな口調はこの男より恋の立場を優位にしようという魂胆から。
それに彼氏になる男は、あたしが冷たい扱いしても逃げない心の強さを求めているのだ。
――ミキトの説明によると、この赤い石は【呪われた石】らしい。
君はなんでそんな物を部屋に置く?
以下、彼から聞いた話。
彼の地元は雪がかなり降る地方だった。
ある冬の日、彼の家の前に不気味な【片目だけの目が赤い雪だるま】が置かれていたそうだ。
気味が悪くなった彼は、その雪だるまに熱湯をかけて溶かしてしまう。
だが、溶かしたはずの雪だるまは翌日には元通りになっていた。
何度溶かしても復活する雪だるま……。
ある日思い付く。
目の石を持っておけば復活しないんじゃないか――
「――それがこれ。それ以来雪だるまは復活しなかった」
コイツ。雰囲気台無し!
ゾゾゾーッてきた。
怪談って、夏にするものじゃないの?
「気持ち悪い。その石、すぐに捨てて」
「うへへ。信じちゃった?」
「いいから捨てなさいよ、そこの窓から」
「分かったよ」
ミキトが窓を開けると、雪まじりの風が吹き込んでくる。
せっかくのホワイトクリスマスなのに。
「やっぱり生きてる人間の方がコエーや」
「な、なによっ!?」
でも、気味が悪い【あの石】をミキトが投げ捨ててくれたので、どうにか落ち着けた。
――もうっ。いい雰囲気がどこかに行っちゃったじゃない!
◇
朝。
これが〝朝チュン〟というやつなのね。
隣にはヤツ。
「あ、起きた?」
「……なんか悔しい」
「えっ、何が?」
あんな雰囲気ぶち壊された後に、なぜこんなことに。
しかも、彼氏になる確約も得てないのが最悪。
「何でもないっ! ていうかこの部屋暖房ないの? 寒い」
ベッドから出ると妙に部屋の中が寒い。
文句を呟きながら玄関横のトイレに入るあたし。
……ショーッ
出来るだけ音を立てないようにシタあと、
トイレから出たあたしは、
思わず悲鳴をあげてしまう。
「ひぃっ」
トイレから出たすぐソコ、部屋の中に片目だけの目が赤い雪だるまがいた。
大きさは20センチ大くらい?
イメージしてたよりも気持ち悪い。
「も、もう。これ、ミキトでしょ? 驚かせないで」
「あ、それ本物」
え。
「やっぱり。嫉妬深いんだよねソイツ」
その雪だるまは包丁を持っていて――
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