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産業創世記 ギデオン  監獄の住人  Industry Genesis GIDEON Citizen of Prison  作者: 初書ミタ
第1章 監獄の住人 citizen of prison
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7話

7話

ギデオン邸

「で、殿下、なぜここに。」

ギデオンが声を上げた。


「わたくしがいてはいけないのですか。謀反の相談でも?」

シオンが笑顔を向けると。


ギデオン卿はハイヤーハムシェルを睨みつけてきた。

「王女殿下、彼の力量はいかがですか。」


相変わらずギデオンはハイヤーを睨む。

「非常に優秀で、優れた人格を持つ、」


シオンは周囲を見回し全員を見終えるとこう付け加えた。

「友人です」


ギデオンはあまり気乗りしなさそうに会議を始めた。

「では、ハッペンハイム卿、本日の議題について

説明していただきたい。」


ハッペンハイムは平常運転、宮廷ユダヤ人だけあって面の皮が厚い。

「大量の宝石を持っていたものがおり、話を聞きだそうとしましたが

その者は見つからず、妹は何も知らないようです。妹の身柄は確保しております。」


ギデオンが発言した。

「ふむ、盗まれた宝石は近年起きているゲットー襲撃事件と関係あるのは

まず間違いない。だがそれを我々ユダヤ人を介さずどう処分されるのかが問題だ。」


「前例が無いからな。」

一同が沈黙する。


「発言をよろしいでしょうか。」

ギデオンはあごをしゃくって認める。


ハイヤーは何を思いついたのか早口で切り出した。

「まず奪われた宝石に希少価値の高い大きなものはありません。

次に何かの部品に使われているのではないかと思います。」


ギデオンは興味が少しわいたのか、

一向に解決しない事件に自信に満ちて発言する

ハイヤーは只者では無いと思った。

「なぜ、そう思う。」


「はい。彼らは価値の高い大きな物は狙いません。

ご存知と思いますが、宝石の小さなものに価値はありません

しかし、部品に使うのならば、画一化されてなければいけない、

鑑定される大きい宝石を奪う価値が無いから奪わなかった、

そう考えます。」

ハイヤーハムシェルは即答した。


「また、我々を介さず直接換金できるとは思いません。

それならば初期にカルテルにばれているはず。

しかしながら、彼らは用意周到で、組織立っている」

ハイヤーハムシェルは続けて言う

「維持コストも相当なはず。これほど頻繁に襲撃してくる以上

大掛かりなロンダリングシステムを持っていることは固いでしょう。」


「たとえば研磨剤。ダイヤモンドは硬いぞ。」

ハンティフィオーレが言う。

「ルビーは偏光に役立つ。」


いろいろな言葉が漏れる。全員考え込んでいる。


「ハイヤーハムシェル その線で地道に調査しては。」


「ダメですね。捜査が遅れれば被害が増すばかり。

無論きちんとした調査はします。しかし彼らの様子を見ると

ろくに鑑定もしていない様子、その証左に傷物の宝石も

混じっていました。」


「つまり、そうですね。贋物や傷物をわざと奪い取らせ

大量に流通させる。すべての宝石に対して。

早期に必ず騒ぎが起きるでしょう。それを待つのです。」


「贋物だと。で、その宝石はどこから調達する。

乞食野郎、塵ダメでも漁ってくるか。」


ホォーバーグは興奮のあまり、金切り声を上げた。


ハイヤーをたたき出しそうな勢いだ。


シオンが声を発する。


「それは暴言ではありませんか。ホォーバーグ。」


「そうではありません。殿下。宝石は我々ユダヤ人が鑑定し

その信用の元価値があるのです。ヴァチカンの金銀に対抗する

唯一の手段です。贋物や傷物が出回れば信用はがた落ちです。」


「カルテルをつぶす気か。ハイヤーハムシェル。」


「ふぅ~、信用は落ちません。何らかの工業製品といいましたが

彼らは、当然需要があるから来るのでしょう。そうやすやすと製造できず

価値があり換金できる。彼らの行動に周期があるのはそういうことでしょう。」


「鑑定しなくては我々にわからない。そこをつかれましたね。

質屋にこれが、製作に時間がかかり、宝石が必要、なおかつ

大量に流通し、一般人にわからない。」


ハイヤーは大きく息を吸い込むと今日という日が来たことに感謝しつつ

言い切った。


「その工業製品とは懐中時計、プアマンズ・バンクです。」


「なるほど、時計の軸受けか、盲点だ。」


ギデオンもハッペンハイムも、もはや

ハイヤーハムシェルの能力を疑うものはいなかった。


「時計会社がロンダリングに絡んでいるのは確実

彼らの信用が落ちるだけです。」


「王家の人質と等価か。」


ポツリとギデオンが言った。


「これが、単なる犯罪ならば良いのですが、

規模からして、国家の利害をはらんだ謀略の可能性も

否めません。」


「殿下の力を借りる必要がありそうだな。」


一同が目を合わせる。


「この事件に関しては、ハイヤーハムシェルに全権を与える。

異議のあるものは。」


誰も手を上げなかった。


「はい。」なぜかシオンが手を上げた。


「ああ、全員一致の無効ですか。懐かしいものを見ました。

後ほど王に報告せねば、殿下にお願いしてもよろしいですかな。」


「はい。」


シオンはあふれんばかりの笑顔で答えた。



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