監禁
ガチャガチャ...ガチャガチャ...
駄目だ、この手枷はとれない。思ったよりも頑丈でベットの脚部分に繋がっている。
なぜ、誰がこんなことをしたのだろうか。私には分からなかった。
悪夢から醒めると知らない天井だったというのはご定番かもしれないかも知れないが、まさか自分がこの言葉を使うとは思ってもいなかった。
周りを見渡しても知らない部屋で窓が無かった。
そして、自分の左手には手枷がついているという状況に困惑するしかなかった。いや、誰でも真っ先にそう考えるだろう。
ここが部屋というのは、目の前にドアがあるからだ。
そのドアを開ければ解放されると分かっている。だが、手枷がついている状態ではそのドアまで届かない。
だから、必死に手枷を解こうしているのだが、解けないのである。
手枷を解くのやめて、改めてこの部屋の中に何かないか調べてみることにした。
発見したのは自分のカバンと...下着だった。...自分で顔に熱が集まっていくのが分かった。
なぜなら、それは自分が着ていた物だったからだ。つまり、今、上半身はシャツだけだ。
ここに監禁した犯人が脱がしたのだろう。恥ずかしさと共に恐怖をおぼえた。
こんなところからさっさと抜け出したい。だが、この手枷を解かない限り、ここから抜け出せる方法はない。
言ってしまえば、詰んだのである。
それから一時間半ぐらいが経過し、自分が憶えていることを少しずつ思い出していった。
いつも通りの日常。家族に見送られ、親友達と学校に登校。いつも通りの高校生活を送る。
加奈と咲哉と笑いあって、稚早を愛でていたら雪が嫉妬して大変だったりと楽しいことばかりであった。
そして、彼と彼の家に行く予定だった。だが、その前に教室で一人、帰り準備をしていると、男子に呼ばれ、告白された。いつものことだった。高校に上がってから告白される回数が格段と上がったのであり、いつも相手が傷つかないように断っていた。今回もいつものように断りを言ようと...
そこからの記憶がない。いあや、思い出せない。その後何があったかなんて思い出すことができないのであればこの時になにか起こったのであろう。
彼と一緒に帰るはずだったから、彼が心配しているのだろうと思ったとき、
ガチャ...キィーーー...
ゆっくりと目の前のドアが開き、そのドアを開けた犯人であろう人が見えた。
私は驚きを隠せなかった。なぜならその人は...
「おはよう、梨花。よく眠れたかい?」
私が一緒に帰るはずの彼、羽馬諒家。その人であった。