俺が異世界に飛ばされるまでのお話し act.1
ここから話しが始まります!
心底冷える時期になってきた……。
時は12月24日。今日はたのしいクリスマス。
俺の名は「中 優司」。高校2年生になっても非リア充な、心も寒い男の子だ。
はて、高校に入ってから行事関係で必然的な場合以外で女子と会話したことがあったでしょうか?
ふむ……。そんなことを考えるのは時間の無駄ってやつだ。空しくなるからではない。
「時は無情に過ぎて行くものだ」と、17の若造ながら悟ってしまった今日この頃なのである。
こうなってしまったらしょうがない。
何か少しくらいは思い出を残そうということで、同じく非リア充で小学生からの付き合いである親友、竜二と共に学校の昼休み屋上でクリスマスパーティーを計画しているのであった。
ちなみに、龍二と仲が良くなれたのは、名前が似ているからである。
パーティーといっても、何、ケーキを食うだけの話しである。
花火を打ち上げたりするわけではない。過激なことをするつもりはない。安全運転でいこう。
問題は天気だけだなぁ。朝の予報で昼過ぎから雪になるかもしれないと出ていたから、尚更心配だった。
自分の進路よりこっちの方が気に掛かって仕方がない。アホかも知れないが。
そんなことを考えつつ窓を見ながら授業を受けていると、いつの間にか午前中の授業が終わった。すごい。
で、ケーキは龍二が用意するらしく、俺は屋上の開放という任務が待っている。
何を隠そう、この学校の屋上は立ち入り禁止なのだ! 入学早々、弁当を屋上で食べるシチュエーションに憧れていた俺にはとてもショックだった……。
まあ、割と冗談抜きで飛び降り防止だったりするわけなのだが。
禁忌を破る時が来たのだ。悪い事をしてしまったら、その分と同じだけの良い事をして、帳消しにすればいいんだ。怒られても後で謝ればいい。そんなふうに思っている。
屋上へ続く階段は埃っぽく、駆け上がると自分の存在を主張するようにいちいち舞い上がってきやがる。
誰か掃除サボってやがるな!?
目の前には変哲もない、よくある扉。地獄の入り口みたいな、おどろおどろしい奇怪な扉だったらそれはそれでやめてほしいが。
ドアノブに手をやり、押して見る。当たり前だが、鍵が掛かっているだろう。
そうなれば、屋上にネコがいるとか何だとか嘘でも付いてこなきゃなんない。
と思ったら、俺の体が前方へ倒れ込む……! 普通に開いてました!
まるでロールプレイングゲームのラスボスを苦戦することなくあっさりと倒してしまったかの様に、軽く拍子抜けしてしまったのであった。