表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第0話 謎の少女

少女は言った。


お金が全てだと。


お金さえあれば何でも手に入るのだ。


力も、仲間も、名声も、この世の全てはお金で出来ている。


お金がなければ良い武器は買えないし、良い武器がなければ一緒に冒険へ行ってくれる人はいない。

仲間がいなければ強い魔物を狩ることもできない。


それではこの世界にいることの意味がない。


一切の迷いはなく、ただ一つその信念をもって、この世界にいる。


そういう覚悟でなければいけない。……と。


覚悟や信念なんぞ何一つ持ったことはない。ただ風潮に流されるだけの人生を送ってきた俺には衝撃だった。

これは遊びではない。


少女は俺に手を差し伸べてくれたのだろうか。


その答えは少女に付いていけば分かる気がした。




 ☆★☆




俺の目の前にいる少女は、やたら汚い食べ方をする。

大きな皿が何枚も並び、山盛りの料理が次から次へと少女の口に運び込まれていく様を見ると、複雑な気分だ。


小銭の入った巾着は店に入ってくるよりも確実に軽くなっている。さっきは揉めるほどあったのに。


「黙っている時は可愛いんだけどなぁ……」


俺が見かねて思わず呟くと、少女の忙しなく動いていた手が止まった。


「何か言った?」


少女の鋭い眼光が俺に突き刺さる。

切れ長の目に鼻筋が通り、唇はぷっくり艶やかで肌の色は雪と見間違う様な白色。頬は少し赤くなっている。

髪の色は透き通る金髪で、かなりの美少女なのだ。……静かな時は……。


「誰のおかげでこんな美味しいご飯が食べれると思っているのかしら?」

「いえ、何でもないです……」


確かに俺は回復魔法専門なので、獲物を仕留めたのは少女である。

よって、偉いのは彼女なのだ。


「ところであんた」


少女の瞳は怖さを潜め、円らに俺の眼をのぞき込み始めた。急にどうした……?


「ところであんたって……どこの誰?」


それはつまり、少女の性格そのものであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ