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主人公は蚊帳の外で、  作者: 鶴次
第二章 シロ
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第二十八話 フジさんの話

この世界についての説明とフジさんの経歴。

すみません、説明回です。とても分かりづらいです。

核の作り方は軽く流してください。あまり本編に関係ありませんので。




「は、え? 魔王?……前魔王!? えっフジさんが!?」

シロちゃんの澄んだ声が地下牢獄に響く。

さすがのイーサンも自分の世界から戻り、俺(シロちゃん)に目を向けた。

「どうしたんだいって、おや、もしかして出てきてくれたのかい!?」

イーサンが鎧を揺らして鉄格子に近づいてくる。

フルアーマーの威圧感に思わず後ずさりをしそうになるが、後ろからはフジさんもといフジ様がはやく話せと無言の圧力をかけてくるので逃げ場がない。俺はつばを飲み込むと口を開いた。

「い、いや、えっと……なんか前魔王から核? についてのお話があるそう、です……」

俺(シロちゃん)の話を聞いてイーサンは厚い鎧越しでもわかるぐらいに嬉しさを爆発させた。

「そうか! 前魔王、庭園の管理者だな! やったぞ、やはり魔王を封じた聖剣! これで私の夢に大きく近づく!」

小躍りでも始めそうなイーサンに向かってフジ様が話を続ける。

「正し、条件があるわ。1つ、王国にこの娘のことも核のことも話さないで。2つ、この娘に勇者世川君たちを追わせなさい」

「えっと、条件があるらしいです。国にシロちゃんのことも、核? のことも話すな、と世川たちを追わせろ、だそうです」

「この少女はシロちゃんというのかい? ははっ、そんなこと! いいとも、私の夢が叶うなら国なんかどうでもいい! セガワ君たちを追って行っても構わないさ!」

イーサンが自分の欲望に忠実で助かった。

フジ様が核について語り始める。が、俺にとっては何が何やらちんぷんかんぷんの話であり、フジ様の言葉を一字一句間違えないように話すので精一杯だった。


鉄格子の向こうでイーサンが鎧をがしゃがしゃ鳴らしながら歩き回っている。

「なるほど、死体を超圧縮するとは……そんな原始的なこと思いつかなかった。器となる死体を圧縮し引力を発生させる……単純だが理にかなっている! 素晴らしい!」

無邪気な子供の様に喜ぶイーサンにフジ様が言い足した。

「ただし、この聖剣と同等の核を作るのは無理ね。この核は歴代魔王5体の死体を使っているから」

フジ様の言葉を伝えると、イーサンは動きを止め唸りだした。

「魔王5体……私のペットたちではどうしようもないな。こうなれば質より量か……?」

イーサンは顔を上げ「今日は本当にありがとう。貴重な情報だ。誰にも漏らさないと約束しよう。私は自室に戻って今後の研究について考える。もうしばらくとどまってほしい。約束は違えないさ。それではまた明日」と地下牢から去っていった。


静まり返った地下にシロちゃんの腹の音が響く。

「はぁ、なんか疲れた」

シロちゃんから抜け出ると、通訳しているうちに気になったことを思い切って聞いてみた。

「あの、フジ様……。シロちゃんの剣は魔王を封じるような聖剣だから、切られたギンも封じられて成仏できない……で合ってますでしょうか?」

フジ様は正座している俺を見下ろすと口を開いた。

「……なに? そのフジ様って。今まで通り“さん”で構わないわ。敬語もいらないし。私も君と同じで元は人間だったし、今も人間のただの幽霊よ。で、質問の答えとしては君のその認識で間違いないと思うわ」

フジ様改めフジさんの返答に頭がこんがらがってくる。

「え? 元人間の前魔王で今は勇者してた幽霊で? 謎が謎を呼んだ……!?」

困惑している俺を見てフジさんが「先にこの世界について説明した方が良さそうね」と呟くと、質問を投げかけてきた。

「この世界が前の世界と違っているところは?」

「……魔法?」

「そう。魔法は魔力と呪文、つまり“意思”で発動するわ。この世界は前の世界より、意思が大きな力を持つ」

「……ほう?」

俺の反応にフジさんが少し考えるようなポーズをとり、ゆっくりと喋りだす。

「聖剣でなぜ、魔王を封印すると思う? 殺してしまえば早いと思わない?」

「あぁ、確かに」

「なぜか、それは魔王を殺しても魔王が消えないからよ」

そう言うとフジさんは俺を指さした。

「君や私が死んでも消えずに残っているように、強い意志を持つ魔王もまたこの地に留まる。そして殺した奴に取り憑き、飲み込むのよ」

「おぉ! ミイラ取りがミイラ、じゃないけど、魔王を倒した勇者が魔王になる、のか?」

「そう、正解よ。今まで王は自国民が魔王にならないよう、異世界から勇者を召喚していた。異世界人なら殺しても胸が痛まなかったのでしょう。だけど、前王は根本的な解決を望み、魔王を殺すのではなく、封印する剣を作ったの」

ようやくこの世界のことが掴めてきた俺にフジさんは続ける。

「実は私、以前にも一度この世界に勇者として召喚されていたの。先々代の勇者として、魔王を倒したわ。その後、魔王に取り憑かれて前魔王になった。そして、聖剣を携えた前勇者に敗れ、今代は勇者として再び召喚された人間よ」

フジさんの話に納得しかけた俺だったが、大きな矛盾点を発見する。

「あれ? でも聖剣で切られると封印されるんじゃ……? フジさんは俺たちと同じ世界にいたよね?」

「あぁ、それは」とフジさんが補足してくれた。

「歴代魔王の念はとても熱く、重かったわ。人間を殺すのが嫌になった私は、転移魔法でほかの世界に自分を飛ばそうと考えた。……ずっと失敗していたわ。けど、最後の最後、聖剣で切られ、纏わりついていた魔王の念が封印され、自分も封じられる直前に私は転移に成功して元の世界に戻ったの」


<非情に分かりづらかったフジさんの経歴>

昔、異世界に召喚され、勇者として魔王を倒す

  ↓

魔王になる

  ↓

前勇者の聖剣で封印されそうになるが、転移に成功して元の世界に戻る

  ↓

勇者として再召喚され、ギンとの戦いで命を落とす←いまここ



話の本筋に関係あるかと言えば微妙なところでしたので、ここで少し補足させていただきました。

説明回はこれで終わりです。あと1話上げます。

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