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主人公は蚊帳の外で、  作者: 鶴次
第二章 シロ
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第二十六回 続、思わぬ再会

サブタイ思いつかなかった……


木の根っこに躓き、転げたシロちゃん越しに様子をうかがう。

世川たち勇者御一行とイーサン、その他黒い服着た神官っぽい人たちが5人いる。

世川のスタンドと化している幽霊フジさんは自分の首なし死体を感情の読み取れない顔で見つめている。

「向こうから来てくれるとはラッキーだったな。ところで、何やってんだろ?」

隣のギンは世川たちに視線を固定したまま言葉を返した。

「おそらく死体を燃やすために戻ってきたのだろう」

ギンの言葉が終わる前に、神官風のおじさんが死体に手をかざし何かを唱え始めた。

光の文字列が死体を何重にも囲ってゆく。

「この姿、魔法が見えるのか……!」

よくわからんポイントで隣のギンが驚いていると、文字が強く輝き、激しい閃光と爆発音を生み出した。

「うわっ! なに!?」

光の文字が弾け、死体が跡形なく消える。

「え、骨というか、塵一つ残ってないけど!? 火力やべぇ!」

俺が驚きを隠せずにいると、しかめっ面したギンが口を挟む。

「人間は死体をいつもああする。地の母に返さず、燃やし尽くすのだ」

俺はギンの言葉に引っかかりを覚えた。

「あれ? 俺、土葬だったぞ」

「知らん。同じ人間だと思われなかったのではないか?」

「そんな……」

俺が少しショックを受けている間に着々と死体の火葬が済まされていく。

ゆっくりと起き上がるシロちゃんの隣でうなだれている俺の耳に世川の声が聞こえてきた。

顔を上げてみると世川が残ったフジさんの死体に手をかざして何か唱えている。

「あぁ、あいつ律儀なやつだったもんなぁ。弔ってやりたかったのか……」

フジさんの死体を囲う瀬川の魔法陣が強く輝き、視界を塗りつぶした直後、体がものすごい勢いで前に引っ張られた。

「ちょ、うわっ!」

ホワイトアウトから戻った視界には世川へと突撃していくシロちゃんの背中が映っていた。

突然の襲撃者に俺とギン以上に世川たちが慌てている。

「この娘は!?」

驚く神官風の人たちにイーサンの鋭い指示が走った。

「各人、札を発動させろ!」

咄嗟に短剣を構えた瀬川にシロちゃんが飛びかかる直前、周囲から急速に接近してきたものがシロちゃんを捕らえた。

どうやらあらかじめ周囲の木々の幹に札を何枚も貼っていたようで、札からのびる細糸に縛られシロちゃんは身動きが取れなくなっている。

「もしかしたら、と思って貼っておいてよかった。お嬢さん、君に聞きたいことがあるんだ。君が殺してしまったアージェンルーヴの死体が見当たらないんだが、知らないかい?」

世川を下がらせつつ、イーサン自身もある程度距離を保ってシロちゃんに話しかけている。

「あぁ、あっさり捕まっちゃったぞ! おい、ギン。この糸切ってやれないか?」

隣のギンに話しかけるも、ギンはなぜお前がやらんのだと言いたげな目を向けてくる。

「ぐっ、切ってやりたいけど、俺は軟弱なんだよ! 糸に触ったら絶対俺の体が削れる! お前なら切るくらい簡単にできるんじゃねーのか」

俺とギンが言い争っていると、まさかの乱入者が現れた。

「君たち、なんでこんなところにいるの! この娘を連れて早く立ち去りなさい!」

鬼気迫った表情で幽霊の俺たちに話しかけたのは幽霊のフジさんであった。

「え、あ、フジさん! そうだ、俺たちフジさんに聞きたいことがあったんだけど……」

フジさんに話しかけようと顔を向けた瞬間、何かが俺の鼻先をかすめる。

目だけを動かして見ると、シロちゃんが全身から刀身を何本も生やし、糸をすべて断ち切っていた。

「お腹すくいた。それ、私ほしい……」

刀身を引っ込めたシロちゃんが世川に向かって手を伸ばす。

イーサンは世川の襟首をつかむと素早くシロちゃんから距離をとった。

「札を破かずにこの術を解くか! やはりその剣……」

イーサンのつぶやきに反応してフジさんの顔がさらに曇った。

「君! この娘に憑依できるのでしょう? 早く逃げて!」

フジさんの声にかぶせるようにイーサンの新たな指示が聞こえてきた。

「セガワ君、サクラギ君、火葬師を護衛しつつ転移の準備を! カンダ君、できるね!」

「おう、任せろ!」

威勢よく返事したカンダは何かを唱えながら世川と交代で飛び出してくる。

カンダは前方に魔法陣を展開させ、それを潜り抜けた。

一瞬のうちに全身を隙間なく覆う鎧姿に変身したカンダはスピードを緩めずシロちゃんに走りよると、手に持っている巨大なハンマーを振りかざした。

「うわ! そんなの女の子に向けて振り回していいもんじゃないだろ!」

「まずい、避けて!」

俺とフジさんの声に呼応するようにシロちゃんの胸のあたりが光った。シロちゃんはカンダに向けて無数の刃を飛び出させるが、カンダの重厚な鎧を貫くことはできなかった。

カンダのハンマーはシロちゃんに当たる直前にヘッドの部分が横に裂け、大きな口を開くとそのままシロちゃんを挟み込んだ。

胴を食われているシロちゃんは白い剣でハンマーを殴っているが、頑丈そうなハンマーには傷一つ付かない。

「うわー! 食われてる! くそっ、なんだよあのハンマー、なんでシロちゃんの剣で切れないんだよ!」

俺はシロちゃんにがっしりと食らいついている禍々しいハンマーを殴るが、俺の右腕はむなしく通り過ぎるだけで何の解決にもならない。

「この鈍器、ただの鉄カラクリか」

何かを納得したように呟くギンにフジさんが言葉をつぎ足す。

「えぇ、やられたわ。この娘の剣は聖剣。魔法以外に対してはただの剣でしかない……」

「え、聖剣って勇者が持ってそうな剣だよな? シロちゃんから生える剣が!?」

驚いている俺にさらなる追い打ちがかかった。周囲一帯の足元が輝き始める。

「うわっ、なにこれ!?」

「くっ、世川君……。もう、無理そうね」

フジさんがハンマーに捕まっているシロちゃんを見ながら呟くのが聞こえた。

「街に転移する……」


足元の光が強くなり視界が白く塗りつぶされた。

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