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主人公は蚊帳の外で、  作者: 鶴次
第二章 シロ
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第十八話 見つめる目

動けないギンに容赦なく攻撃が入る。

イーサンってやつの話を聞くと、このまま攻撃を受け続けていたら、この泥でできた鎧はもたないらしい。

(まずい、何でギンは動けないんだ。まえ騎士にされた捕縛術みたいな光は見えないのにっ)

術をかけたであろうフジとやらを睨む。

この美少女どこかで見たことあると思っていたら、やはり勇者ご一行の一人であった。

隣には横山(仮)が「これはハンジさんの分、これはガジェットさんの分……」と言いながら、ギンに殺人光線を放っている。もうこの世界では友好的な関係を築くことはできなさそうである。少し切ない気持ちになった。

(いや、今はそれどころじゃない。フジさんの術を解かないと)

フジさんに視線を戻す。すると慌てて視線をさげるフジさんが目に入った。

(ん? 俺の視線を避けたように見えたけど、そんなはずないよな……)

何かあるのかと足元を確認しようとしたその時「待てっ!」と小さく、鋭い声が聞こえた。

俺が驚いて顔を上げると口を抑えたフジさんと目が合う。

「え? 俺?」

俺が自分を指さすとフジさんがさっと横に目をそらした。

(これ確実に見えてるよな!? もしかしてほかの人にも?)

慌てて周囲を見やるも俺に視線をよこす者はなく、皆ギンに向かって一斉射撃を行っている。

(あ、忘れてた。ギンを助けねぇと……)

ギンは相変わらず動くことがかなわず、集中砲火を受けている。

つややかだった黒い鎧には亀裂が入り、もう長くもたないことがうかがえる。

(俺のこと見えてそうなフジさんが気になるが、それどころじゃない!さっきフジさんが俺に下を向かせようとしなかったのには何か理由があるはずだ)

ギンの足元に注意するとギンの影の中に何か小さく光るものを発見した。

「これか!」

ギンへと向かってくる攻撃を掻い潜りギンの足元にたどり着いた瞬間、右手でおとなしくしていたクロちゃんが跳ね上がった。

クロちゃんがフジさんと俺の間を遮る。

“ぶつ”と不穏な音が響いた。

「クロちゃん!?」

急いで右手のクロちゃんを引き寄せようとするが、地面からにょきにょき生えてきたクロちゃんたちに頭を挟まれギンの方に向かされる。

(ぐっ、ごめん、ありがとうクロちゃん!)


ぶつぶつぶつとクロちゃんに何かが刺さる音を背に、ギンの影をのぞき込む。ギンの影を地面に縫いとめるように突き刺さっていたのは鈍色の虫ピンだった。

「これだな」

(魔法に触るのは恐ろしいが、そんなことは言っていられない!)

意を決して虫ピンを掴む。痛みは無い。

いける! と思ったのもつかの間、虫ピンがびくともせず、焦りが出る。

(まじかよ、抜けねぇ!)

クロちゃん越しにフジさんの声が聞こえる。

「くっ、無駄よ。あきらめなさい!」

「止めるってことは、止めなきゃまずいからだろ!」

両足を突っ張り、全体重をかけて後ろに引っ張る。地面から生えてきたクロちゃんたちも手を貸してくれた。

「ぬっけろぉぉぉおわ!」

あれだけ固かった虫ピンが急に抜け、思いっきりしりもちをついてしまった。

「ぬ、抜けた! あ、そうだ、クロちゃ……」

クロちゃんの安否を確認する隙もなく、ギンが後ろに大きく跳躍する。ギンに引っ張られる俺は不自然な体勢で超速移動してしまった。

(フジさんに見られてると思うとクソ恥ずかしいなこれ……)


ギンが飛んだ直後、大きな爆裂音と共にさっきまでいた足元が大きくえぐれた。

「まさかフジ君の術まで破られるとは……実に素晴らしいよ、独眼のアージェンルーヴ」

土埃の奥からイーサンの不気味な笑みがのぞいた。



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