うたかた
掲載日:2015/07/16
人が寿命を終えると魂になる
それは蛍の光のようにほのかに光り輝く
そして、新しく生まれ変わる
ゆらり ゆらり
水藻に揺られ
また、魂が彷徨ってきた。
それはほのかに淡い色を発する魂だった。
それを拾う1人の少年がいた。
「お前は…そう…生前は…蝶だったんでね…」
ここは死者の魂が一時彷徨ってくる現世との狭間の空間。
時折、生前の記憶が強く残っている魂がいる。
何世紀か前に この空間で生まれた”幽”には、
それらの記憶を見るのが有一の楽しみだった。
幽は、永遠に続く時間を生きているには退屈だと思い
時折、彷徨ってくる魂を拾っては、その生前の記憶を見て楽しんでいた。
しかし…
「…あっ…」
…ポロッ…
記憶を覗いた魂はしばらくすると、雪のように溶けて…消えてしまうのだった…。
ここはうたかたの世界‥‥いっしか彷徨う魂は輪廻の輪に加わる…。
しかし…幽に記憶を見られた魂は、その記憶を飲み込まれ、消えてしまう。
そして、狭間にある空間には たった1つの掟がある。
それは…「生きた人間が彷徨ってきてはならない」
生きて人間がこの空間に彷徨ってくると、空間は崩れてしまうからだ。
その為、この空間には生きた人間はいないのである。
幽は生きている人間ではなく、生まれる前に死んだ赤子の魂が彷徨ってこの空間になじんで成長した
いわば…”幻”のような存在なのだ。




