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鈍色のパラディン  作者: チノフ
序章
8/67

8話

プロットが狂いそうだったので一部改訂

ドッズは服を着るように言ってから部屋の中で最も重量のあるモーニングスターを引き摺って来て問うた、持てるか?と。

メリッサはさっきからドッズがやっている事もアンジェが急に何を悩み出した事も分からない、今だに無知な少年はただやれと言われたらやるだけである。


目の前のモーニングスターはとても大きい、とても重そうだ。

スパイクこそ控えめだが先端の球はドッズの頭程もあるし、柄はアンジェの腕よりも太く、握りの部分には滑り止め防止の為の金具が両手分ついている。

正に鉄塊というべき凶器である、が


しかし昨日から力が滾っているこの身からすればたいした問題はない。

片手で引き摺り上げ肩に乗せるとこれでいいかとドッズに問う。


「お、おう、そのままだそのまま表に出てくれ」


ドッズが先導する、表に出ると訓練していた冒険者達が何事かとこちらを注視する、重量がありすぎて地面に靴がめり込む感覚がうっとおしい。

先導された先にあったのは先の冒険者がスキルの反復に使っていた案山子だった。 


「合図したらこいつをそれでぶん殴ってくれ、肩が抜ける程力は込めんでいい。」


コクリと一つ頷くと軽く、本人は軽くのつもりで素振りをする。

周りからすればたまったものではない、掠るだけで体ごともっていかれそうな轟音である。事態を察した冒険者達は屋根のある場所へ退避しながら事態を見守る。メリッサの正体について悩んでいたアンジェも遅まきながら出てきた、ドッズが後ずさりしながら屋根のある場所へと到達した。


「いいぞ!やれ!」





――凶風一閃である





腰を落とし体全体で捻りを加えたモーニングスターは案山子の胴体を直撃し、木の部分を粉々にしながら着せられた鉄製の鎧は形を変え、1枚のプレートになりながらコロシアムの観客席、石材で出来たそれに高速で突き刺さった。


見てる殆どの人間がゾッとするような光景である。



しかしドッズだけは興奮していた。間違いない、こいつは先祖返りだ。

オーガみたいな半端なもんでもないしドラゴンですら足元に及ばん。

太古に神々と争ったとされるサイクロプスかギガンテスの血だ!


呆然としているアンジェとメリッサ本人を引っ張って急いで元の部屋に戻った。見ていた冒険者達に他言無用と釘を刺すのも忘れずに。

モーニングスターを部屋の片隅に押しやってから呆けているメリッサの肩を掴み話しかける。


「いいか、小僧、いやメリッサか。お前さんは先祖返りだ、間違いない。

 恐らく太古に滅びた巨人族の末裔だろう。何がどうなって滅びた筈の巨人族の血がお前さんに流れているかは分からんがそれは最早どうでもいい。

重要なのはお前さんの意思だ。これから何をするにしてもその膂力は武器になる、お前が成したい事を成せ、いいな、俺ァはこれからこの件をギルドマスターに報告せにゃならん。

おい、アンジェリカ、呆けとらんでお前も手伝え、お前さんのチームに<ネクロマンサー>がおったろ、あやつ連れてこい!死霊が逃げればギガンテス。

霊が見えればサイクロプスだ、いいか、分かり次第一緒にギルド本部へこい。さあ行くぞ、行くぞ!」


ドッズは嵐のようにまくし立てた後。

漸く事態に頭が追いついたアンジェを伴って外へ駆けていった。


一人残されたメリッサは呆然としていた。



己が望んだのは転職して、市民権を手に入れて・・・

その先はなんだった?いや、何も考えていなかった。

しかしこうなってしまった以上人並みの生活は望めまい。


ならばこの力を以って何を成す?


旨い物をもっと食べたいしまだ見ぬ場所を旅したい。


まだダンジョンに潜った事も無いし


何よりアンジェや他の人に恩を返していないではないか。


成したい事を成せ、ドッズはそう言った。




顔を両手で擦る、決めた、僕はこれから――







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