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鈍色のパラディン  作者: チノフ
一章~駆け出し冒険者編~
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15話

現在地に関する簡単な説明会

夕食が終わると勉強の時間だ、一旦部屋に戻って羽ペンとインク壷、紙の束を持って再度食堂へと集まった。


する事が無いので、メリッサの後を付いて周っているカールが問う。


「私も参加して構わないかい?」


「構わないけど一般的な常識しか教えて無いわよ」


アンジェが応えると、どうせ暇なんでね。と言いメリッサの横へ座った。

少し遅れてきたマリーが部屋の隅に置いてあった古ぼけた黒板を皆が座るテーブルの前に移動させてきたら授業の始まりだ。


「せっかくだからこの地域について、復習しながら進めていくわよ、デイジィ。お願い。」


コクリと頷いたデイジィは石灰石で黒板にこの大陸の簡単な全体像を大きく描いた。「入」という漢字を大きくしたような大陸の左下、右下、中央から上をそれぞれ線で区切る。


「基本的な事だけど、右下が<皇国>、上が<帝国>、左下が今私達がいる<王国>。<帝国>と<皇国>は今回関係ないから置いておくね。

まず今私達がいる<王国>の一番西南の街<ベティラード>と周辺の村を纏めた<グラディウス領>は通称<王国の胃袋>と呼ばれているくらい農業が盛んなの、一年中気温が少し暖かめで安定してて作物を育てるには適した環境だからね。

他にいくつか特徴があるんだけど・・・マリー、一つでいいから答えて。」


「はい!税が他の地域と比べて安いです、おかげで生活が楽だってお母さんが言ってました!」


「そうだね、それは現グラディウス侯爵の善政の賜物。他にも別大陸から稀に来る行商船を迎える為の港町やエルフやドルイド族が住む森が多いのも特徴。

<グラディウス領>に点在するダンジョンはFランクからCランクまで。原理は分からないけど中央に向かうに連れてダンジョンのランクが上がっていくのはこないだ教えたよね。最も難しいとされるダンジョンがあるそれぞれの国境を越えた逆三角形地帯は立ち入り禁止、今は停戦状態だからね。


話を戻すね、今いる<ベティラード>から真っ直ぐ北東に進むと私達が明日向かう都市<グラディウス>があるの。<グラディウス>は各街や村から運ばれてくる作物なんかが集まる場所だから凄く栄えてるよ。私とアンジェが付いて行きたがったのはここで買い物したいものがあったからだね。<グラディウス>は領主様のお膝元だけあって、人が多い割りに治安が凄くいいのが特徴。

とりあえずこんなものかな。質問ある?・・・ないみたいだからアンジェ、交代」


疲れた、めりーくん枕、と言うとデイジィは長椅子に座った状態でコテン、と懸命にメモを取っていたメリッサの太ももに頭を乗せた。


「ついでだから王都まで進めちゃうわよ。<グラディウス領>が広いのはあくまで田舎である事とグラディウス家の爵位が高いからであって、他の貴族は大体村が2.3集まった程度の領地しか持たないわ。たくさんあるから今は省略するわね。

<グラディウス>からさらに北東へ進むと<オフノック>という都市があるわ。ここは王都までの道中にあるだけで大きな特徴がある訳ではないけど、人と物流が凄いから栄えてるわ。この付近にはCからBランクのダンジョンがあるから、<ベティラード>でランクを上げた冒険者の一部はここを一時的な拠点にしてるわね。

<オフノック>からさらに進むと王都<ハイぺリオン>、もう少し進んだ国境付近には城砦都市<ソルラード>があるけど、<ソルラード>は今の所直接関係がないから置いておくわね。

<ハイぺリオン>には王族が住むだけあってこの国最大の都市よ。ダンジョンもBから特Aランクがあるから冒険者達が最も多くて、腕のいい鍛冶職人や薬師もここに集中してる。他にも魔法学院や軍学校なんかの育成機関があるのも特徴ね。一応メリィが育ったら<ハイぺリオン>を拠点に活動するつもりよ。」


「えー!アンジェリカさん達この街から居なくなっちゃうんですかぁ?」


「冒険者はどんどん上のダンジョンを目指すものよ、我慢してちょうだい。・・・カール、何か補足でもある?」


黙って聞いていたカールが手を挙げた。


「王族についても説明をしておくべきじゃないかな。」


「そうね・・・まぁ冒険者として大成しない限りは縁の無い世界だけど一応説明しておくわ。

現王ウィンロック3世陛下は極めて内政能力が高く、民は<賢王>なんて呼んでるわ。かの王おかげでこの国は今建国以来最も栄えてると言って過言ではないわね。

王妃は既に亡くなっているけど1男1女を産んでる、余り社交界に出てこないから風聞でしか聞かないけど王子は現王の血を色濃く次いで聡明、王女は美しく、その姿を見た貴族は一目で骨抜きにされるそうよ、メリィ、興味ある?ふふ、残念だけど目にする機会はないと思うわよ。他になければ今日はおしまいにしましょ、明日は早いんでしょう?」


「そうだね、特に時間は決めてないが出来るだけ早い時間に出たいと思う。」


「そ。じゃあ解散しましょ、マリー、黒板の片付けお願いしていいかしら。

・・・デイジィ・・・は寝てるか。メリィ、部屋まで運んであげて。その後は自由にしていいわよ。」


メリッサは頷くとデイジィを横抱きにして食堂から出て行った。

カールは僕も休ませてもらおうと言って大部屋に戻り、黒板を片付け終わったマリーは女将の手伝いにいった。

残されたアンジェもあくびをひとつすると照明用の魔石に手を翳して消した後、自室に戻って横になった。

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