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鈍色のパラディン  作者: チノフ
一章~駆け出し冒険者編~
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12話

感想やお気に入り登録ありがとうございます。

「さて、街のどこを案内すればいいだろうか。」


馬を肉屋に預け、馬車を大工に任せて街に入ったメリッサはカールに問うた。


「そうだね…この街の特徴的な場所や施設が見たい。」


「あい分かった。ではまずギルド本部へ案内しよう。」




               ~~~



街の入り口から木造の大きな建物には冒険者ギルド本部、と大きく書いてある。


「ここが僕達冒険者の拠点であるギルド本部だ、中に入るか?」


「そうだね、せっかくだから見せてもらおう。」


若干建て付けの悪い扉をこじ開け、中に入ると丁度ニーニャが受け付けに戻ってきた所だった。昼だからか冒険者は一人もいない。


「あれ、メリッサさん。今日は訓練いいんですか?」


「ああ、客人を案内する為に休みをもらった。」


と、体を横へずらすと背後に完全に隠れていたカールが姿を現した。


「ニーニャ、こちらカール・・・なんだったか、街を見て周りたいと言うので案内している。」


「カール・グラディウスだ、よろしく頼むよ。」


グラディウス、と聞いて少し驚いたニーニャは慌てて姿勢を正した。


「貴族様でしたか、失礼しました。わたくしこのギルドで働かしていただいてるニーニャと申します、お見知りおきを。」


カールが貴族、初めて聞いた。だからマスターは目上、と言ったのか。


「ニーニャ、テーブルを借りたいが構わんな?」


「勿論です、お飲み物は要りますか?」


「必要無い、少し話したら出て行く。」


「分かりました、ごゆっくりどうぞ。」


深々と頭を下げるニーニャを後ろに、いつも使う席に案内すると座るように促して、話を始めた。


「どんな話が聞きたい?」


「そうだね、この街の冒険者についてと主な産業についてかな、書面では知っているけれど、住民である君から聞きたい。」


分かった、と頷くとメリッサは語り始める。


「この街のギルドには現在100人程が在籍している。そのうちの大半は駆け出しから中堅だ、この街の近くにはCランクまでのダンジョンしかないのでな。僕もまだEランクだ。」


「へえ、もっと上のランクかと思ったよ。」


「師匠の方針でな、月一でしかダンジョンに潜らせてもらえないから上がらんのだ、個人的にはもっと早くCランクまで辿り付きたいんだが・・・」


まぁ僕の事はいい、続けるぞ。と言い


「この街の主な産業は農業がほとんどで、他は冒険者相手の商売だな。観光名所は無いから尋ねてくるのは行商人くらいで、たまに駆け出しの冒険者が移籍してくるな、僕自身他の街を見た事がないから栄え具合は分からない。」


「冒険者相手の商売と言うと?」


「ダンジョンに潜るのに必要な物の販売だな。武器や防具を作る鍛冶屋、皮細工職人、ポーション等の薬品を作る錬金術師等、一通りの職人は揃ってる。無論彼らは冒険者の相手だけじゃなく、街の住人相手にも日用雑貨品を売って商売をしている。」


他にあるか?と続けると思いついたら聞かせてもらうよ。と帰ってきたので一旦外に出る事にした。



             ~~~



あれが防具屋、皮の匂いが凄いから入るのはオススメしない。

こっちが露店街、自分の店を持ってない職人や行商人が店を出してる。

と案内していく。


メリッサはクレープを二つ買ってこの世で一番旨い食べ物だ、と言って渡した。

舌の肥えたカールにはチープな味に感じたが、確かに甘くて美味しかった。


あの大きな建物が訓練所、冒険者が修練を行うのに使われてる。その周りにあるのは鍛冶職人達の工房だ。

向こう側の通りが歓楽街、僕はまだ未成年だから絶対に言ってはいけないと言われている。


「未成年?てっきり20くらいかと思ったが・・・」


と思わずカールが言うので、まだ15だ。と伝えると驚かれた。

カールは18歳である。


しばらく歩くと少し立ち止まってメリッサは考え込んだ。

この先はスラムだ、決して貴族に見せるようなものではないだろう。


「どうかしたのかい?」


「この先はスラムなんだが・・・ゴミ溜めの様な場所であるし。危険もあるから入らない方がいい。」


と言うとカールは首を振った。


「いや、見させてもらおう。そもそもここに来たのは民の暮らしを見る為なんだ、底辺の生活を知る事で見えてくるものがある。それに、何かあっても守ってくれるだろう?友よ。」


カールは快活に微笑んだ。

友人と言われてキョトンとしたメリッサだったが、理解するとこちらも微笑んで言った。




「任せてくれ、友よ。」











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