10話
不満を持つ冒険者達に対するパフォーマンスを終え、服を着させると一旦会議室に場所を移し、育成方針を固める事にした。
「ま、適性は前衛で確定としてどの方向に伸ばすかだな。
万能な<ソードマン>
攻撃重視の<ファイター>
防御重視の<ガード>
それぞれ扱う武器も違うし、早めに決めておいた方がいい。
<ノービス>から転職出来ない奴もいるが坊主に限ってそれは無いからな。」
以前訓練所で適性を見てもらった時に大盾と槍斧が一番違和感がなかった事を伝えると、ギルドマスターは少し困った顔をして
「そりゃどっちかっていうと<ナイト>の領域だ。それも騎乗した時限定のな、だが…それでもどうしてもその組み合わせがいいっていうんなら大盾を使う以上<ガード>だ、武器固有のスキルが殆ど無いから単体での殲滅力は落ちるが、将来的に魔法使い二人とパーティ組むのなら問題ない。それに槍斧の扱い方なら任せろ、専門分野だ。」
前衛の知識に乏しいアンジェとデイジィは口を挟まない。
皮袋の中身を机にひっくり返してギルドマスターは続ける。
「んで、だ。訓練の度鎧を着せるのも金かかる上に面倒だからこいつらを持ってきた。重量を込められた魔石をベストやバックルに固定した簡単な代物だが、俺も現役時代に世話になった。全部つければ全身鎧と同等の重さになる。これから1年間これをつけて生活して重量に慣れろ。
基本的に必要なもんはこっちで準備してやる。
坊主はただ毎日決まった時間に来ればいい。」
説明を終えたマスターが質問はあるか?と聞くとメリッサは首を振ったが、
アンジェとデイジィがそれぞれ手を上げた。
「二人で交互に付いてこようと思ってるんだけど」
「却下だ、訓練に集中させろ。」
「でもめりーくん一人じゃ心配だし・・・」
「・・・お前らは子離れできない母親か!!!」




