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鈍色のパラディン  作者: チノフ
一章~駆け出し冒険者編~
19/67

5話

ソロ踏破認定をもらって、素材と魔石を換金したメリッサは硬貨を入れた袋の重さに緊張していた。

重さ自体はたいした事無いのだが、生まれて初めて持つ大金だ。

持ち歩くのが怖い、さっさとアンジェに預かってもらおう。

両手に皮鎧と袋を持ったまま二人と合流すべくギルドマスターとニーニャ、ドニーに礼を言い、席を発った。


             ~~~


合流すべくテーブルに近づくと両腕を二人に持っていかれたので慌てて皮鎧を肩に担ぎなおすと改めて腕を組みなおしギルドを後にした。後に残るのは面白く無さそうな冒険者達とニヤニヤ笑うギルドマスター、呆然とした職員達だけである。


宿屋への道すがら、アンジェが清算の結果を聞くとメリッサは硬貨袋と共に渡される清算の内訳書を差し出した。


内容はこうである。



単価銅貨5枚

Fランク魔石が322個


銀貨16枚


単価銅貨3枚

スライムゼリー・118枚

ウルフの牙・115本

ポイズンビーの毒針・89本


銀貨9枚大銅貨1枚


単価銀貨1枚

トロルの鼻・2個


銀貨2枚


合計

銀貨27枚と大銅貨1枚


塵も積もれば山となる。

押し付けられた袋には手数料を引いた銀貨25枚と大銅貨5枚(一部両替してもらった)が入っているという事だ、自分より大きく稼がれたアンジェは思わず目が点になった。自分が一人で潜った場合相手取れるのは魔力の都合上100体程であるからだ。



補足:一般の駆け出し冒険者の収入は1回のダンジョン攻略で銀貨3枚前後、1日潜って1日休息するのが一般的なので実質1日あたり銀貨1枚と大銅貨1枚が基本的な収入であり、宿、武器修理代の他にも武器訓練所で師事した際の料金等を含めると月あたり銀貨20枚程が駆け出し冒険者の命を賭けた収入になる。付け加えると、一般家庭の平均月収はおよそ銀貨15枚。



              ~~~


宿に着くと女将が丁度玄関を掃除していた。宿の裏から音が聞こえるのでマリーは薪割りをしているのだろう。

帰還の挨拶をし、冒険は無事終わった事、今日で約束の3日であるが、継続して宿を使わせて欲しい旨をアンジェが伝えると。


「お金は大丈夫なのかい、うちは結構お高いんだよ?」


と言われたが私より稼ぐくらいだから大丈夫よ。と返すと

女将は少し驚き、あいよ。と言って宿に入っていった。


            ~~~


メリッサが宿に入ろうとすると、台帳を捲っていた女将が皮鎧は後で娘に磨かせるからここに置いていく様に、と前置きして契約の話に移った。


「ここに名前とギルドランク、契約期間、大部屋か個室かを書いておくれ」


字がまだ書けないメリッサの代わりにアンジェが代筆する。

大部屋で契約期間は1週間間隔、料金は前払い。


魔石を溶かしたインクに羽ペンを漬け、流麗に書いていく。

書き終えると女将は確認して説明に移った。


宿屋<大戦斧>は冒険者向けのギルド公認宿屋である事。

料金はプライベートボックスの使用料と食事込みで1日銀貨1枚。

契約は一週間間隔なので今日銀貨7枚もらう事。

食事は1日2回、朝は7時から10時、夜は18時から21時。

酒類はあるが追加料金を払うか、外で買ってきて持ち込みする事。

浴室は個室にしかないので個室の2人に借りるか大衆浴場へ行く事。

門限は24時、それを過ぎた場合は外泊してもらう事。

防具の汚れ落としは受け付けるが追加料金をもらう事、出来るだけ自分でやった方がいい。

最後に、ダンジョンで行方不明、死亡した場合部屋においてある荷物はギルドが接収する事を付け加えて女将は説明を終えた。


一日銀貨1枚に面食らったメリッサであるが、それ以外は大よそ問題ない。

酒はまだ飲めないし風呂にはまだ入った事が無いが水さえ浴びれれば気にならない。防具の汚れ落としはマリーが教えてくれるそうなので出来るだけ自分でする。プライベートボックスは魔石製で頑丈な上鍵がないと開けられないので安心していいらしい、これは下級の宿屋には無いそうだ。


アンジェから受け取った袋から銀貨を7枚手渡すと夕食の支度がある女将はマリーを呼んで厨房へと入っていった。


「メリッサさん、冒険お疲れ様でした!」


アンジェとデイジィと別れ、汚れの落とし方を教えてくれるというマリーについて行きながら井戸へと移動した。

ただいま、ありがとう。というと照れ隠しなのか、慌てて皮鎧について話始めた。


「魔物の皮ってとっても頑丈なので、軽く水をかけて束子で擦れば大体の汚れは落ちますけど、金具の部分は錆びちゃうので乾いた布でしっかり拭いてください。

モンスターの血とか体液の染みは専用の薬剤で染み抜きしないと完全に綺麗にはならないので注意してください、後、1週間に1回は防具屋さんに持っていって調整とか修理してもらった方がいいそうです。手数料は取られますけど命を守る大事な物なのでケチっちゃだめですよ。」


真剣な顔でマリーは井戸から水を汲み束子で皮鎧を丁寧に擦りながら教えてくれた。洗ったあとは部屋で一晩干して置けばいいらしい。


礼と銅貨2枚を握らせると嬉しそうに一つ微笑んだ後、夕食の支度を手伝ってきます、と言って宿の中へと戻っていったので自分も綺麗になった皮鎧を担いで大部屋へと戻った。


            

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