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鈍色のパラディン  作者: チノフ
序章
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12話

職業に関して一通り聞き終えたメリッサは再び武器訓練所へ戻ってきた。


アンジェは疲れた、デイジィは寝る、と言って先に宿に帰っていった。


「よーし、改めてお前さんに合った武器を選ぶぞ、

とりあえず自前の武器で案山子に打ち込んでみろ。」


訓練所はさっきまで閉じていたせいか誰も居ない。


ドッズの言うとおりに片手剣を引き抜くと腰を落とし案山子のわき腹を裂く様に振りぬいた。


巻き込まれない様に少し離れていたドッズが寄ってきて案山子の状態を見る。

鎧の金属部分が裂け、木の部分までしっかり刃が通っている。

ほう、と呟くと誰かに師事した事があるのは見て取れた、力に頼りすぎてる部分はあるが一応剣術としての形が取れていたからだ。


メリッサに聞くとスラム時代、元冒険者に基本を習ったと答えた。

それ以来棒を剣に見立てて練習してきた、とも。


だが無意味だ。ドッズはそう判断した。

剣とは斬る武器である、小型の魔物ならともかく中型より大きい魔物に対しては刃の入る場所を一々気にしなければならない。そんな事を考えるくらいならぶん殴った方が早い、そう思い次に装備させたのはナックルである、手首まで保護するタイプの手甲で拳の接地面には蛙の魔物の皮革を挟んである。思い切り殴っても拳を痛めない筈だ


殴り方が分からないというメリッサにボディブローの手本を見せてから少し離れた後、いいぞ!と言われたメリッサは渾身の力で案山子の腹を殴る。

案の定というか、バカ力で殴られた案山子は腹の金属板をぶち抜かれ木の部分は四散した。貫通して手に纏わり付いた金属板を引き抜いて手甲を外す。

この方向性で行くか、ドッズは倉庫から武器を引っ張り出してきた。


その後も斧やメイスを持たせてみても案山子が粉々になるだけでどうも見てる側は分からない、本人に聞いてみると違和感を感じるらしい。



なら好きなの選んで来い、と言うと真っ先に手を取ったのは1、5m程の大型のタワーシールドだった。ドッズはそれは武器じゃなくて防具・・・と言おうとしたがやめた。

例え盾でもメリッサの膂力で殴ればそれは十分武器になると思い直したからだ。



案の定案山子は四散したが本人は満足そうである。しっくりくる。だそうだ。


言いたい事は山ほどあるが本人が納得してるならいい、そもそも巨人族の膂力なんてのは幾人もの冒険者の武器を見繕ってきたドッズでも未知の領域なのだ、本人が納得する武器を使わせてやればいい。

そう思い次は片手武器を選んで来い、と言うと今度は大振りのハルバード※1を肩に担いで出てきた。違う、それは片手武器じゃない。そんな叫びを飲み込んで好きなように振るわせて見る。もはや諦めの境地である。



左手にタワーシールドを持ったまま右手で柄を掴み、脇に挟んで突く、叩きつける、掬い上げる。一連の動作は流れるようで、澱みがない。おもちゃを初めて与えられた子供のように嬉々として振り回す姿を見て、ドッズ自身初めて見る組み合わせであるが、本人が気に入ってる以上口出しする事は出来なかった。


小型の敵に対しては今の片手剣をそのまま使うと言うことでとりあえず武器選びは終わった。タワーシールドとハルバード、合わせると銀貨40枚になる事を伝えると唖然としていた。



当分丸盾と片手剣で過ごす事になるな、と体格差で肩を叩けないので腰を叩いてドッズは笑いながら言った。




※1 ここで出てくるハルバードは大きな斧の先端に槍の穂先がついてる物

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