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第0話 何しやがる親父!
それは本当に突然のことだった。
高校一年生のゴールデンウィークが終わった頃、長年どこかをフラフラしていた親父がいきなり帰ってきて放った言葉。
俺はそれを一生忘れることができないだろう。
『実はな、お前は俺と母さんの子じゃないんだ』
いや違う。これにも驚いたが本当に忘れちゃならないのは次の会話だ。
『いやぁ、世の中世知辛いもんでな、真貴よ。何をするにしても金が必要で、少しばかり知人から借りたわけだ。だがその金をまったく返せなくてなぁ』
そして親父はこう言った。
『うちの息子をやるから好きに使ってくれって言ったら、チャラにしてくれた』
親を殴ったのは初めてだったさ。これはもう不可抗力としか言いようがない。体が勝手に動いたんだ。塵ほども悔いは無い。どうやっても俺の運命とやらは変わらねぇみたいだからな。
こうして俺は日本有数の大財閥泉堂家の召し使いとして親父に売られた。