表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
例えば仮の魔王様  作者: 零月零日
第二部 序章
67/67

誰がために

 僕に手を差し伸べてくれたあの人は、もういない。

 けれど、あの人が僕に教えてくれた事は今も心の中で生きている。


「『助けて』って言える事は、とても難しい事なんだ。恥ずかしいし、申し訳ないし、自分が弱いってことを受け止めなくちゃいけないからね」


 同じ日本人でさえも差別し合っているのだから、種族が違えばその差別もより酷くなる。

 

 亜人。


 人間にない身体的特徴を持つ人々の総称。人類の敵である、魔物の血を引くと言われている。

 獣人、エルフ、ドワーフ……彼らは森の奥や未開の地に住み、ひっそりとした生活を送っている。そこを踏み荒らし、売りさばくのが人間だ。

 亜人は身体能力が高く、奴隷として高値で取引される。

 そのため彼らに取って人間は、忌むべき存在に等しい。

 平穏な生活を壊し、想像を絶するような屈辱と苦痛を与える人間達は、滅ぼしてやりたい程憎い存在だろう。


 だけど違うのだ。

 彼らは、決して人と争おうとはしない。

 集落を襲われた彼らは、諦めたように奴隷としてその人生を終えて行く。

 それは何故なのか、僕は知ってしまった。



「だけど、言わなきゃダメなんだ」



 隠された真実とは得てして、知らなければ良かったと思う情報だ。


 だけど、知ったからには、どうにかしたい。

 例えそれが偽善と呼ばれようとも。

 なぜなら。


「社会ってのは、助け合う事で形成されているんだから」

 

 僕が持っていない物を、あなたは持っている。

 あなたが持っていない物を、僕は持っている。

 持ちつ持たれつの関係だ。人は一人じゃ生きられないんだから。

 

 

 僕を助けた男は、死んだ後にこう言った。



「感謝はいらないよ。今度は君が助ける番だ」



 アルカディアが最初に行った事は、亜人の救済だった。

 



ちょっとした叙情文です。

誰がための国なのか。


更新遅れます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ