魔物を倒したら
「なぁ、魔法使いさんよ」
「なんだい、戦士殿」
「ゲームではさぁ、魔物を倒すと経験値とお金が手に入るじゃん?」
「あぁ」
「経験値はともかく、俺たち結構魔物倒してるけど、金手に入んないよな~って・・・・・・」
「はぁ?」
「改めて考えるとさ、あれってどういう理屈なのかな? 倒しても財布に自動的にお金入るってこともないし、神様がお金置いてくれるのかと思ったらそうでもないじゃん?」
「当たり前だろ」
「だから、残る可能性としてはさぁ、倒した魔物の体バラバラのぐちゃぐちゃに解体してそこから・・・・・・って思うと、そうまでして小銭手に入れてもなって、さ」
呆れたようにする魔法使いの背後から魔物が襲い掛かる。それに向けて短刀を放って急所に刺す。魔物はそれだけで絶命する。
「なぁんだ。汚れ役押し付けてんのかと思ったら、知らないだけなんだ」
「はい?」
「だから・・・」
と言って魔法使いは死んだ魔物に近づき、懐をまさぐる。
「ほれ」
と言って取り出したそれは・・・・・・
「それ? 財布?」
「うん。ほら、はい、今日の獲物は32000ゼニー♪ まぁまぁだね。やっぱ春先って出稼ぎの魔物が故郷付近うろつくから、おいしいよ~」
「えっ・・・・・・それって」
強盗殺人ってやつじゃ・・・・・・
いかがでしょうか。
魔物の世界の通貨が人間のものと同じなのか、とかそもそも経済があるのか、とかいうツッコミは甘んじて受けましょう。
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