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第41話 それでもなお…

 アレックスはリチャードを踏み台にすると、そのまま背面へ跳躍した。


 コンフュージョン(混乱)により、理性のたがが外れているからなのか。

 そのせいで、人間が疾うに無くしてしまった『獣』としての本能が目覚めているのか。

 あるいは恐怖や痛みなどといった感覚までもが、失われているからなのか。

 原因はよくわからない。が、リチャードの顔を踏み台にしているとはいえ、その跳躍力が尋常でない高さだった。


 アレックスは剣を振り回して正面からの攻撃をうまく交わしながら、旋回している怪鳥目がけて突っ込んでいった。

 予想外の動きで明らかに戸惑っている怪鳥たちを次々に斬りつけていくと、またもやそれを踏み台にして下へ真っ直ぐに落ちていったのである。

 しかし剣は空を斬り、そのまま階段上に落下した。リチャードが空中へ軽く飛んで避けたのだ。


光射刺箭レイ・プッセ・プファ!」


 この瞬間、私はすかさず光属性の矢を放っていた。


 いくら中位クラスの魔物だからといっても、空中での攻撃を簡単に避けることはできないはずだ。

 例えそれが可能であったとしても、恐らくこちらへは意識が向いていないだろう。


 出現した数本の矢はリチャードを貫くと、私の読み通り、地上へそのまま落下していった。

 矢が刺さったままの身体は数回バウンドした後、仰向けの体勢で地面に倒れ込んだ。

 私はその様子を離れた場所から見ていたが、しばらく経っても動かない。今のところどうやら、起き上がる気配はなさそうである。


 私はそれを確認すると、少し安堵の息を吐いた。

 だがホッとしたのも束の間、手前の階段上では倒れていたアレックスの起き上がる姿が見えていたのだ。しかも上空から落ちたことにより全身を強打して動けないはずだったが、ふらつきながらも剣を振り回し、階段を下りてくるのである。

「うそっ、まだ術が解けてないの!?」


 スリープの時は、私の蹴りで目を覚ましたのだ。それよりも更に強い衝撃を受けているはずなのだが、まだ目覚めないというのか。

 アレックスがこちらへ向かってくる。もし万が一また攻撃をしてきても、この速度ならば避けるのは簡単だった。

 しかしこの状態のアレックスを放ってはおけなかった。なんとかして術を解かなければならない。


 ここで突然、

雷風烈破フード・ヴァン・デスト!」

 私はアレックスに向けて術を放った。

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