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第33話 そして戦い

 スケルトン・キラーの一体が何処に隠していたのか、小さなカードのようなものを取り出すのが見えた。

 それを目の前の壁に貼り付ける。すると、大きな地響きを立てながら壁が二つに割れ、左右にゆっくりと開き始めたのである。

 カードのほうは壁に吸い込まれるように消えていった。どうやらそれが、開く鍵になっていたらしい。

 スケルトン・キラーたちがその中に、ぞろぞろと入っていく。


 今までそれを黙って見ていたアレックスだったが、突然背後から一歩前へ出ると、

「道は開かれた。行くぞ!」


 私が制止する間もなく一人で勝手に結界の中から飛び出し、後を追いかけて中へ入っていってしまったのだ。当然スケルトン・キラーたちは私たちに気が付いた。

「もうっ! なんでこうなっちゃうのよ」

 なんて性急な男だろうか。私も仕方なく後へ続いた。結局は戦う羽目になってしまった。


風刃鋭鎌ヴィン・シャル・クリン

 アレックスが敵を引きつけている間に、私は術を放った。


 開いた壁の向こう側は天井が高く、かなり広めの空間になっていた。

 上階へ続いている石階段が部屋の中央にぽつんとあるだけで他には何もなく、殺風景な印象である。

 このくらいの広さなら、さっきの通路よりは戦いやすい。しかもここにいる敵は幸いにも、スケルトン・キラーだけだった。


 私はスケルトン・キラーの弱点を知っていた。

 父が他の術士と退治に行くというので、無理を言って一緒に同行させてもらったことがあったのだ。勿論、修行の一環としてである。私はそこから学んだことを思い出しながら、確実にスケルトン・キラーの脳天だけを狙って術を放った。


 スケルトン・キラーの弱点は、頭蓋骨の中である。人間で言えば丁度、脳のある辺りだった。

 そこには脳の代わりに拳よりも二回りほど大きめな、石の固まりのようなモノが隠されている。後から父に聞いたのだが、それは核(コア)と呼ばれるもので、人間の心臓に値するものらしい。それを破壊すればその身体は、全機能を停止するとのことだった。


 実際この場にいるスケルトン・キラーを全部倒すのに、それほどの時間は要しなかった。

 私はまだパーティを組んだことはなかったが、他人との連携プレイをするだけで、こんなにも楽に倒せるということに正直驚いている。弱点を知っているとはいえ、私一人だけではこれほどスムーズに倒すことなどできなかっただろう。

 もっともこの程度の魔物を倒すだけで苦戦しているようでは、この先のことが思いやられるとは思うのだが。


「この先に~魔王がいるのですね~」

 エドがいつの間にかすぐ近くに来て、上を見上げながら言った。

 目の前には二階へと続く階段がある。それほど長い距離ではなく、二階の入口がここからでも見える程度の高さだった。

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