起⑪
⑪このところ 鳳雛が忙しなく 動き廻っていた 挨拶も 漫ろに 特に教授陣との コンタクトを取りまくっている様に思われた その動きが ある日 ピタリと止まった 久しぶりに路端に座り いつも通りに くつろいでいた どうした鳳雛 しばらく振りでないかい 伏龍が尋ねる いや そんなでも無かったと思うが そうか でも 挨拶もそこそこに 何やら嗅ぎ回っておったぞ ブルちゃん並みに せめて チャウチャウ犬並みに といって 欲しかったな なんだ ドッチもどっちだが ナニか 分かったのか 分かった分かった 入学前から 気にしてた件が ようやく 分かったよ ホニャララ教授とアツく語らってな ようやく 突き止めた 多方 一杯 呑ませたんだろうに まぁな でもその甲斐があった で 玄徳が なんで 入学できたか なんだ そりゃあ 本田本家のチカラだろうに ハチクマの息子や堀部もそう ソレが違うんだな 何故 面接があったろう 本校の場合 入学前の成績よりも 推薦書 推薦書よりも 学内の調査員による調査書 よりかは 本番の面接が最重視 されているよな オレもそう聞いているよ 今更かよ で 直接本人と会って 面接するのが 教授二人で 直接 面会せずに 直接面接した二人から話を聞き取り 四人で決を取る その際に 四人のウチ ひとりでも取りたい 採用したい と 頑張る教授がいたら 合格だそうだ ひとりでも 入れたいと思えば 入れてくれるのか ソレは初耳だな ブルガニロ博士と一緒に面接した教授をやっと突き止めた 滅法口が固くてな 聞き出すのに 苦労した ソレが ホニャララ教授だった訳だ で ブルガニロ博士が 直接面接した中で 強く推してたのが 玄徳とハチクマの息子だったそうだ 矢鱈滅多ら ネガティブだった 玄徳と その反対に矢鱈滅多ら ポジティブだった むしろネアカというよりはネバカではないかと疑ったそうだが ハチクマの息子の二人だったそうだ 面白い 面白い と盛んに言ってたそうだ ちなみに 二人を推してたのは 博士だけだったそうだ ほんまに 直接面接したホニャララ教授の言うことだから 間違いない しかも 玄徳の場合 面接に遅れて その日の最後に回されたらしい で 後日 面接前日 ひょっとして当日だったかも知れないが 玄徳の泊まってた宿がな 火事で全焼したらしい で 玄徳が当局に疑われて拘束されていたと まぁ 何故か 玄徳の荷物だけが 部屋の窓の外に 置き去りにされていたことから 犯人と思われたらしい ソレを聞いた博士は 腹を抱えて笑っていたそうだ 後にも先にも コレほど愉快そうに笑っていた博士を見たのは 初めてだったとな オレも お前も残念ながら 面接官は博士ではなかった 鳳雛が博士の講義を受けるために 仕事を辞めてまで 受験したことは公然の秘密で 皆が知っていた 講義を受講するまで至らなくても せめて一目でも会って置きたい ソレが叶わなかった ソレが鳳雛のキズになっていた ソレでもまぁ オレ達は合格したじゃン 伏龍が慰めるように話したが 鳳雛は 黙りこくったまま 又杯を重ねた




