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四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭
それはもしもの物語

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case2 なりふり構わない幼馴染

『アタシは樹が好きだ。付き合って欲しい』


 それは何年も抱え続けた葛藤の果てに出た言葉。家の事情もあってその少女に自由な恋愛は許されなかった。


 しかし彼女は行動することに決めた。親の取り決めに逆らって、一歩を踏み出したのだ。



 ─────────────



「たぁつきぃ!おはよう!」


「おはよう燈璃」


 今日も俺の恋人である酒匂(さかわ) 燈璃(あかり)が俺の胸に飛び込んでくる。

 ボーイッシュな姿と男勝りな性格なのに対し、身体はちゃんと女性なのでギャップが凄い。


 俺たちは今から登校するところだ。家から出て待ち合わせをしていた。

 先に待っていた俺の元にやってきた燈璃が抱きついてくるのはいつもの事で、その度に本当に好きでいてくれることが分かる。


「なぁ、今日学校終わったらホテル行こうぜ♪」


 頬を種に染めて耳打ちしてくる燈璃。

 一度行為をしてからというもの、かなりの頻度でこうして誘ってくれる。凄く嬉しい。


 ただ、その度に燈璃がそのお金を出してくれてるんだよな。本当に申し訳ないんだが、かといって俺もそこまで余裕がない。

 今度バイトでも始めようか……母さん許してくれるかな?


「っ……うん、行こう」


「よっしゃ!なんか熱くなってくるな。へへ♪」


 俺の返答にガッツボーズをした彼女は、自分の欲を示すようにその胸を思い切り押し付けてきた。

 最近すごく女性らしくなっており、その度に欲に溺れて頭が焼かれそうになる。我慢するのが大変だ。



 中学生の時、俺はとあるクラスメイトから告白されて付き合ったが、ソイツが「付き合ってあげてるだけ」とか言ったことで、いわゆるいじめが始まった。

 加えてソイツは、恋人であるハズの俺ではなくクラスの男子連中との時間を優先し、これみよがしに触れ合っていたりとされてしまい、俺はちょっとした女性不信に陥っていた。


 あまり顔を合わせない姉さんはともかく、母さんやクラスメイト、そして燈璃にまでも強い不信感を抱き、燈璃には辛く当たってしまった。


 それでも彼女は諦めず寄り添ってくれ、ずっと守ろうとしてくれた。

 そんな折に、彼女はずっと俺のことが好きだと言ってくれんだ。



 しかし、どうやら燈璃にはそれまで告白できなかった理由があるらしく、それは婚約者がいるということらしい。

 その相手のことまでは教えてくれなかったが、その人は俺の事を知っていて、俺たちの関係も応援してくれているのだとか。

 婚約者なのに……?とは思ったが、色々と事情があるのだろう。


 燈璃曰く、今は恋人同士でいられるものの、それがずっと続くわけじゃないと、だから別れなくてはいけないと言っていた。

 それがあるから、本当は付き合うつもりはなく俺の幸せを願ってくれていたらしい。


 それなら、俺ができることは少しでも燈璃に喜んでもらうことだ。例え束の間の関係だとしても、一緒にいる時間を幸せに過ごしたいんだ。



 ───────────



 時刻は十九時頃、行為を終えてホテルから出たアタシたちは帰路についている。

 大好きな樹と手を繋ぎながら夜道を歩いていると、忌々しい顔をしたヤツが現れた。


「樹……?」


「っ……!」


 周辺(あたり)が暗くなっていたために一瞬 誰なのかを気付くのが遅れたものの、樹もその正体に気付いたようで、表情を歪めていた。


「樹だよね?久しぶりだね」


 ソイツは自分のした事を覚えていないのか、馴れ馴れしく樹に声をかけた。誰のせいで彼が辛い思いをしたのか、いまでもコイツは許せない。

 庇うように彼の前に立ち、思い切り睨みつける。


「やめろよ、樹が嫌がってるだろ。馬門(まかど)


「ぅっ……確かキミって酒匂さんだよね?ウチと樹の問題だから邪魔しないでくれるかな?」


 よくもまぁぬけぬけとそんな事を言えたものだ、感心してしまう。もちろん悪い意味でだ。

 結果的にコイツの悪意(おこない)によってアタシは樹と付き合うことができたわけだが、だからといって彼を傷付けたことを許すわけがない。


「何言ってやがる、アタシは樹の彼女だぞ?お前じゃないんだから、彼氏が困ってる時に見捨てたりしねぇよ。お前は樹を売ったくせに」


「ちがっ、そんなつもりじゃ……」


 ちらりと樹を見ると、かなり警戒している様子が見てとれた。きっと不安に違いない。

 大好きな樹を苦しめるなら、絶対に許さない。


「他の男とベタベタしてたヤツが何言ってんだ?他の連中と仲良くしたいからって樹を悪く言ったくせによ」


「違うってば!そんなつもりじゃなくてウチは、その……恥ずかしくて……」


「彼氏でもねぇ男に身体を触られる方が恥ずかしいだろ。不愉快って方が正しいけどな」


 例えどう答えようと、アタシは馬門を樹と関わらせるつもりは無い。なんとしてでも守る。

 アタシの言葉にヤツは怯み、二の句を告げずにいた。


「なんでもいいけどよ、とにかく樹に近付くな……じゃあな」


 そう言って樹の手を握って馬門から離れる。長居すれば彼が苦しむだろうから。

 いじめの原因(きっかけ)を生み出して我が身可愛さに逃げた女が、樹の恋人を名乗る資格なんてねぇんだよ。

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