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四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭
それはもしもの物語

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case1 胸を張る元カノ(3)

 これから帰ろうという時に俺たち……というより俺を呼び止めたのは観月さんだ。

 紗奈さんは事情を知っているが、麻緒は事情を知らない。かなり気まずいんだよなぁ……


「自分が何したのか分かってる?」


「それは、そうですけど……でも、樹くんに話したいことがあって」


「観月さん、悪いけど樹くんが困ってるからさ、あんまり無理強いはしないでくれる?」


 観月さんと関わりたくない俺を庇うように、紗奈さんが間に立つ。

 一方の麻緒は、観月さんをジッと見つめて何やら考え込んでいた。


「なっなんですか……あれ?馬門さん……?」


「うん、そういうキミは観月さんだよね」


「えっ知り合い?」


 何故かお互いの名前を知っている麻緒と観月に、紗奈さんが問いかける。俺も同様に驚いている。


「もしかして、麻緒が転校した先で会った人?」


「そうだよ!さすが樹、よく分かったね」


「まぁそんなもんだと思ってさ」


 予想通りというか、それしか考えられないだろう。観月の家は知らないが、そこそこ離れているはずだ。

 少なくとも電車を乗らないとキツい距離だと思う。


「馬門さんは樹くんと知り合いなんですか?」


「知り合いというか、愛し合った仲というか……これから愛し合う仲かな!」


「まだどっちかは決まってなくない?私も樹くん大好きだから、麻緒ちゃんだけが独占とか許さないよ」


 俺たちの関係性に目を回している観月さん。そりゃそうだろう、だって二人の女の子を誑かしてると思われてもおかしくないからな。

 訝しげに麻緒に問いかけたものの、帰ってきたのは愛し合う仲って話だ。

 色々と困惑するだろう。そのままずっと目を回していてほしい。


「それで、ウチたちの樹が嫌がってるわけだけど……それでもだる絡みする?何があったのかは知らないけど、樹が困ってるなら見過ごせないんだよね……まずはウチから話聞いてあげよっか?伝言くらいなら引き受けるけど」


「ダメです!私がちゃんと話をしたいんです……」


 俺たちの関係性を話し終えたところで、麻緒も観月さんの前に立ちはだかる。

 二人のその背中がとても頼もしく見え、ついつい甘えてしまいたくなる。


 二人にこちらを向いてもらい、その背中に手を回して、ギュッと抱きしめる。


「うひゃあ!」


「わわっ!樹くんってば積極的だねぇ……♪」


 麻緒は驚き、紗奈さんは嬉しそうにしている。

 頬を朱に染めた二人があまりに可愛くて、思わず見惚れてしまった。かわいい……


「ありがとう、その優しさが嬉しいよ」


「ずっと会えなかったから、これくらい安い安い!」


「うぇへへぇ♪樹くんってばかわいいなぁ♪」


 キリッとしている麻緒に対して、紗奈さんが鼻の下を伸ばしてデレデレとしている。

 お互い違う反応ではあるものの、喜んでくれてることはちゃんと伝わって、心が温かくなってくる。


 そんな様子を見ていた観月は、フルフルとその肩を震わせて、何も言えなくなっていた。


「うぅっ、ううぅぅ………っ!」


 いたたまれなくなったであろう観月は、目に涙を浮かべながら走り去って行った。いったいなんだったんだろうか?

 気にしても仕方がないので、ハテナマークを浮かべたままの俺たちは目を合わせて、そのまま家に帰るのだった。



 ────────────



 悔しい悔しい悔しい!

 どうして私は樹くんを振ってしまったのだろう……自分の愚かさが招いた結果が、こんなにもやるせない気持ちになるだなんて思わなかった。


 七瀬さんと仲が良いのは知っていたけれど、まさか馬門さんまで彼と仲が良いだなんて……


 馬門さんは中学の時に転校してきた女の子だ。

 誰もでも打ち解けるその性格で、彼女はすぐに男女問わずたくさんの人達に囲まれていた。


 そんな人気のある彼女は、静かな雰囲気が好きな私にとって近寄り難い人で、遠巻きに見ていることしかできなかった。

 それでもクラスメイトだったからお互いに顔と名前は知っているけれど、それ以上でもそれ以下でもない、ただの知り合いの域を出なかった。


 そんな馬門さんが、あそこまで樹くんと……あの口ぶりを鑑みるにきっと付き合っていたのだと思う。もしかしたらこれからも。


 七瀬さんも馬門さんもあれだけ樹くんが好きで、それを見せつけるように触れ合って頬を赤くして……見ている私にとって、それは地獄だった。

 好きな人が二人の女の子といい関係になっている所を目の当たりにして、胸が締め付けられる思いだった。


 その感情をただただ持て余して、私は枕を涙で濡らす事しか、ただそれだけしかできなかった。

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