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四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭
本編

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六十七話 ガン詰め

「どういうことなのか説明してもらえないですか?あなたは樹くんに何をしましたか?」


「えっ……えっと……」


 ヤツの言葉を聞いた観月が凄まじい勢いで詰め寄る。しどろもどろになって何も言えなくなっているヤツは、チラチラとこちらを見てくるが知ったことかと何も言わないでおいた。

 自分で蒔いた種だし、その処理はご自分でどうぞといったところだ。そもそも、俺は被害者だしな。


「さっき樹くんに色々と言ってませんでしたか?殴ったとか気絶したとか、それってつまりそういう事ですよね?警察行きますか?あぁ呼んだ方がいいでしょうか?」


「ぁ……ぃゃ……」


 観月がどれだけ問い詰めてもヤツは何も答えられず、ただ呻くのみだった。そんな状況に彼女は辟易したのか、ヤツから離れて俺の腕を抱いて言った。


「あなたみたいな最低な人の誘いなんて絶対に乗りたくありません。関わりたくもありませんし近付いて欲しくありませんから、これからはそのつもりでお願いします」


 ゾッとするほどの目と声色でそう言いきった彼女は俺の手を引いてヤツから離れた。

 その瞬間、晴政と壱斗がヤツに詰め寄ってどこかへ連れて行ってしまった。俺は知らないよ。

 ただ、悪いことをしたらちゃんと罰のようなものもあるのだなと、そんなことを呑気に考えることにした。後のことは任せよう。

 ちなみに好透は多対一の構図がかなり嫌いらしく、後のことは二人に任せると言って俺と一緒に離れた。

 今は紗奈さんと燈璃、好透と観月と一緒にいるが、好透は自分のクラスの出し物、そして燈璃は友人に呼ばれて離れていった。

 また昨日と同じ面子である、勘弁してくれ。


 観月はまたも俺にベッタリで、どれだけ言っても頑なに離れようとしてくれなかった。

 なんとか離れてくれと言ってみるが、離れてはくれなかった。


「ごめんなさい。ワガママなのは分かってますがどうしても離れたくないんです」


「知らねーよ離れろ」


 あれこれと問答していると、ついに紗奈さんが観月の肩を掴んで引っ張った。


「みーづーきーさーんー?」


「ひぇ……」


 凄い圧をかけながら顔を近付ける紗奈さんの圧を食らった観月が引き攣った声を上げた。

 さすがにここまで詰め寄られれば彼女も食い下がることは出来ないようで、諦めて離れてくれた、助かった……

 昨日と同じ三人になったが、さすがにずっと離れていた俺が遊ぶ訳にもいかず、とりあえず俺たちの出し物の方に戻ることにした。なぜか観月も一緒に。


「私はもうやる事も終わったので」


「知らねーよ」


 ということらしい。彼女と一緒に行けばなんて言われるか分からないので勘弁してほしいのだが、その事が頭にぎったのは暫く歩いてからだった。


「いやマジで。観月さんと一緒だと絶対変なこと言われるから離れてくれ」


「ぅええ……嫌ですぅ……」


 俺の言葉に彼女は俺の手を握って泣きそうになりながら食い下がってきた。マぁジでやめてくんねーかな?

 とはいえ、一人にしておくとまたナンパされるかもしれない……と思ったけど、さっきの対応を考えるとそんな心配は無用か。


「あぁもう、自分で俺を突き放したくせしてなんで今更なんだよ、俺には紗奈さんっていう大切な恋人がいるんだよ。それは分かってよ」


「でっでも、もしかしたらまた声をかけられるかもしれないので、せめて傍に……」


「さっきの圧はどうした?」


 とんでもない猫被りをしている彼女であるが、どこまでも自分本位なのか俺の言葉を聞いてくれない。どうしたものか……

 すると、紗奈さんがまたもや観月の肩を掴んで顔を近付けた。


「ねぇ観月さぁん」


「ぴぃぃ!」


 またもや圧もかけられ涙目になって奇声を上げている観月だが、俺はどうしてこんな女を好きになってしまったのだ……

 まぁそういうこともあるか、今は紗奈さんがいるしそれでよしだ。


「樹くんを困らせないでって言ってるでしょ?どうしてそんなに自分勝手なの?ねぇ?バカなのしぬの?」


「うひぃ……」


 紗奈さんにガン詰めされた観月だが、なぜか分からないが物凄く小さくなってるように見える。

 ぴぃぴぃと喚いている彼女も、さすがに途中からは諦めてくれたようで、最後で思い切り抱きつかれたがすぐに離れていった。


「大好きですよ!樹くん!」


 手を振りながら離れていく観月を見てため息が出てしまうが、そんな俺を紗奈さんが撫でてくれる。俺は紗奈さんが大好きである。


 ただ彼女のお母さんがなんて言ったのか、話して貰えない限り俺はその事を知ることも出来ずに悶々するが、またその事は後で話そうと思った。

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