表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/82

六十六話 脱出

 体育倉庫に閉じ込められた俺は、犯人たちの詰めの甘さのおかげで紗奈さんに連絡をする事が出来た。

 紗奈さんに電話しすぐに来てくれると聞いてソレを待っていると、扉の鍵が開く音が聞こえた。


「樹くん!」


 扉が開かれると飛び込んできたのは紗奈さんで、目に涙を浮かべながら抱き着いてきた。もちろん俺も抱き返す。


「全然見ないし連絡もつかないからどうしたかと思ってたけどよ……無事そうで良かったぜ」


「誰かに後ろから殴られたみたいで……心配かけてごめッ──」


 安心したようにそう言った燈璃に謝ろうとしたところで彼女が人差し指を俺の口に当ててくる。

 つまり、それ以上は言うなということだろう。


「お前は被害者なんだ、謝っちゃいけねぇよ。それより詳しく話を聞かせてくれ」


 そう優しく告げた燈璃に頷いて、朝に呼び出されたところから話をする。と言っても呼ばれて行ったら殴られて、気付けば閉じこられてましたとさってこところだ。


「とりあえずソイツをとっ捕まえれば、お前を殴った犯人も分かるってことか」


「多分な、相手がもし伝言ゲームでもしてれば難しいけど」


 俺をあの場所へ連れてきた男子生徒について燈璃に話す。

 まぁ、もしそんな手間のかかることをするならまず俺からスマホは取り上げるだろうし、体育倉庫だなんて誰でも分かる場所には閉じ込めないだろう。

 そもそも俺を殴るほどの理由だってあるのかと言われれば、そんなに恨まれるようなことをしただろうか……



 あるとすれば、昨日 観月をナンパしていた男だろうが……決めつけは良くないが目星は付けておいてもいいだろう。

 とりあえず、その旨も燈璃に伝える。


 ちなみに、来てくれたのは紗奈さんと燈璃だけだ。壱斗は当番があるのでこれなかったみたい。

 燈璃曰くとても心配してくれたようだし、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだが嬉しくもある。



 とりあえず、一度教室に向かうことにした。

 ただ、問題はこれだけじゃ無かったみたいだが。


「ごめんね、もっとちゃんと止めておければ良かったんだけど……」


「タイミングが悪かったから仕方ないよ」


 どうやら紗奈さんのお母さんが来てくれたものの、一向に姿を表さない俺に痺れを切らして帰っちゃったらしい。

 その時に色々と言われたのだとか。その内容は言いたくないとのことだった。確かに表情を見る限り、あまりいい内容モノではなさそうだ。



 というわけであの男子生徒を見つけて誰の指示を受けたが聞いてみた。やはり昨日のナンパ男らしい。

 話を聞いた好透や晴政もやってきて、二人してかなり怒っていた。不意打ち からの閉じ込めもそうだが、真正面から文句を言えないのならそもそも黙っているべきだとのことらしい。

 俺に怪我がないかどうかを好透がめちゃくちゃ心配して病院まで勧めてきた。しかし外傷はなく大丈夫だと思うが……


 晴政は もし相手ヤツをやるのなら任せろと言っていた。彼が言うとシャレにならない。

 本当の不意打ちを見せてやる とか言ってたし、止めるのに随分苦労した。


 ちなみに犯人は性懲りもなく観月にアピールしていたようで、俺がヤツを見つけたと同時にヤツも観月を見つけたようだ。なんだこの連鎖は。


「げっ!なんでテメェここにいンだよ!」


「あぁ?お前がバカだから出てきたんだろ」


 俺を見て焦ったように喚いているが、そもそも詰めがあまりに甘すぎるのでこうなったのだ。

 使えない頭を無理して使おうとするからだ。


「はぁ?意味わかんねぇよ、閉じ込めたハズだろ!どうやって出てきて……」


「いや普通に出てきたけど?」


 わざわざヤツのミスを自覚させる意味はないので雑に答えておく。ヤツの言葉に観月がピクリと震えた。

 彼女の顔色が変わっているがヤツはそれに気付かない。


「ざけんなよ!テメェが気絶したのは確認したんだぞ!確かにぶん殴ってぶっ倒れたクセに……」


「まぁ意識はなかったけどな、おかげで頭がイテェよ」


 閉じ込めるまでは良かっただろうが、結果はこんなものである。殴られたところも痛いので困ったもんだ。 


「なら今度こそぶち──」


「どういうことなんですか?」


 ヤツが言葉を続けようとしたところで、観月から今まで聞いたことのないほど低い声が被る。

 表情もかなり険しいものになっており相当に怒りを抱いていることが分かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ