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四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭


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六十五話 閉じ込め

 観月に告白していた男は、彼女が俺の腕に絡みついてベタベタとしている所を見て、すごすごと立ち去って行った。

 その表情は暗かったが、俺を見る目だけは中々に鋭かった。


 俺に抱きついたままニコニコとしている観月だが、いい加減紗奈さんに替わって欲しいんだけど何とかならん?


「やです!離れたくありません!せっかくくっつけたのに、大好きな樹くんに!」


「だあぁもう、前だったら嬉しかったのにさぁ!」


 今更になってそう来られても困るんスよー、他にいい男見つけてくれ。

 そんなこんなで色々と困惑していると、紗奈さんが彼女を えいっと 引き剥がした。


「観月さん?あのね、樹くんは困ってた観月さんを助けようとしてくれただけたの。なのにその恩をそうやって返すの?仇で返すのかな?」


「ひいぃ……」


 ズゴゴゴ……という音が聞こえてくるほどに観月に圧をかけながらそう詰め寄る紗奈さんは、俺から見てもちょっぴり怖い。そりゃされてる本人はガクブルでしょうね。


 とはいえ、また放置しておけば余計な連中に絡まれそうだしとりあえず男避けくらいにはなっておくかと思って一緒に回ることにした。


 しかしコレって傍から見ると、まるで俺が二股でもしているかのような……しかも観月も紗奈さんも割とモテるわけで……うぁ、そう考えると周囲の視線が……


 いつも通りがっつり手を繋いでいる紗奈さんと嬉しそうに手を握ってくる観月、あんなことがなければすっごく喜べたんだけどねぇ。

 紗奈さんと手を繋げたらソレで良かったんだが?これが観月じゃなく燈璃なら全然良かったのに……と思うのはさすがに良くないね。


 二人で色々と回り、思いの外楽しい時間が過ごせたからかあっという間に時間は過ぎていった。



 文化祭の一日目が終わり、荷物を手に取り帰ろうと思い紗奈さんと学校を出る。結局観月は最後まで回っていた、とはいえ彼女は別で帰ったが。

 しかしここぞとばかりにアピールしてきたな……俺としては嬉しさより困惑が勝る。

 いつまでも過去の恋愛に浸ってないで、俺のように新しい相手を見つけた方が間違いなく幸せになれるのだが、それを本人が理解してくれないと多分このままだろうな。


 そんなことをぼんやり考えたながら紗奈さんと一緒に歩く。ちなみにさっき聞いたんだけど、彼女のお母さんが明日来るんだってさ。

 お父さんは出張らしく来れないみたい、残念。


「ねぇ樹くん、この後ウチに来て欲しいんだけど……いいかな?」


 上目遣いで尋ねてくる紗奈さんの可愛さに卒倒しそうになる。別に普通にお願いしても断ったりしないのに。


「喜んで」


 答えは一択。喜んで上がらせていただきたいってとこだ。多分今日は、少し激しい。

 彼女の様子を見てそう思った。



 ヘロヘロになりながら紗奈さんに手を振り家を出る。やっぱり観月にベタベタされてたのが燃料になったみたい。

 ちゃんとマーキングしないとって言って、思い切り押し倒されそのままアレコレされてしまった。情熱的で素敵だと思う。


 明日は紗奈さんのお母さんに会うのか……ちょっと緊張してしまうが、お墨付きを貰うことが出来れば……!

 そう意気込んで意気揚々と家に帰るのだった。



 翌日、帰りのテンションはどこへやら打って変わって緊張してくる。

 紗奈さんが俺のそんな様子を見て笑いながら 大丈夫だよと背中をなでてくれた。


 今日も俺の役割を果たすために準備をしていると、クラスメイトの男子から声をかけられた。

 いつも おどおどとしており、自信なさげの彼とはあまり話したりしないから、いったいなんだろうと思ったら、どうやら呼び出されたらしい。


 なんとなく嫌な予感がして紗奈さんたちに断りを入れてその呼び出しに応えると、呼び出された場所には誰もいなかった。


 やはりイタズラかと思い離れようとした所で、いきなり後ろから殴られ意識を失った。




 目を覚ますと頭が痛く、どこか真っ暗な場所にいて辺りを照らそうと思ったが、もしかしたらとポケットを探るとスマホが……あった。安心すべきなのに逆に驚いて怖くなってしまった。

 普通に考えれば連絡手段スマホくらい奪わないか?アホだけど助かった……


 ライトで周りを照らすとここは体育倉庫だった。うわ わかりやすいわ……心配になるぞ、これでこの先大丈夫か?

 詰めが甘いとかそういうレベルではないが、何はともあれ助かった。


 心配していたのだろうたくさんのメッセージを送ってくれた紗奈さんに電話をかける。


『樹くん!大丈夫なの!?』


 電話に出た紗奈さんが心配したように勢いよくそう言った。後頭部がズキズキと痛むがとりあえず命に別状はなさそうだ。


「まぁ、なんとかね。心配かけてごめんよ」


『心配なんてかけてもいいの!そんなことより今どこにいるのか分かる?』


「体育倉庫にいるよ、鍵も閉められてるから閉じ込められてるみたいだね」


 そう言いながらガチャガチャと扉を揺らす。確かに使わないからね、閉じてて当然か。

 先生に鍵を持ってったヤツとか聞けば犯人分かるかな?


『体育倉庫ね、分かった!すぐに助けに行くから待ってて!』


 そう言った紗奈さんは周りに話をしている。誰が来るんだろうかと何となく考える。

 できることもないし、とりあえず周りの音を聞いてみる。


 体育倉庫からは体育館内の音が聞こえてきて今は賑わっていることが分かる。スマホを見ると今は昼前だった、半日近くサボっちゃったことを皆に謝らないとな。

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